上場を果たした飲食口コミ「Retty」代表に聞くコロナ禍の成長戦略--Go To Eatや飲食業界への思いも - (page 2)

「Go To Eat」効果とデリバリー、テイクアウトの将来

――「Go To Eatキャンペーン」の話も出ましたが、先日、予約サイトでのポイント付与などが早期で終了すると報じられ、かなり多くの人が利用したという印象があります。御社としてはこのキャンペーンの効果についてどう見ていますか。

 Go To Eatは非常にいい施策だったんじゃないかなと思っています。短期間ではあったものの、多くのユーザーと多くの飲食店が利用して、想定を上回るペースで予約が増えて、もともと決まっていた予算に早く到達したということだったので、非常に意義のある施策だったと思います。

 Rettyとして見ても、これまでと比較し圧倒的な数の予約がありました。多くの人がこの施策で外食に行く機会を取り戻したといいますか、「やっぱり外食っていいよね」と感じたのではないでしょうか。


——Rettyでは飲食店に対するGo To Eatの送客手数料を無料にしていました。これにはどういう狙いがあったのでしょうか。

 われわれも新型コロナウイルスの影響を受けた側だったわけですが、飲食店の皆さんの方が固定費が占める割合が大きく、ビジネスの構造的に苦しむ度合いは大きいと思いました。いち早く業界の回復を目指すにあたって、われわれなりに少しでもサポートしようと考えて手数料はいただかないことにしました。

——確かに、送客手数料の有無を考えて予約サイトを選ぶ人も見かけました。

 ユーザーさんのほうで、そういうところまでしっかり考えてくれているんだということを、Go To Eatを通じてわれわれも感じました。Rettyで「皆さんがこのタイミングで飲食店に行く理由を教えてください」といった内容のアンケートをとったときにも、「飲食店を応援したいから」という理由が8割ほどを占めていたりもしました。

 もちろん、実名利用が特徴であるRettyのユーザーだから、というのはあると思いますが、多くの方がそういうふうに「自分たちで飲食店を助けよう」という考え方になっていただけたという意味でも、無料にした意義はあったと思います。

——一方で、Go To Eatでは単価の安いメニューを一品だけ注文してポイントを稼ぐ、といったキャンペーンの意図から外れた利用が話題になるなど、トラブルも散見されました。

 こうした話は、どうしても一つ一つの問題がつい大きく取り上げられがちですが、総論で考えた方がいいと思っています。抜け穴を突く人は必ず発生するものですが、全体のせいぜい数%程度でしょう。そういうネガティブな部分を取り上げるより、全体として見た時に、危機に瀕していた外食店舗に対してしっかり送客して回復基調に向けることができた、ということ自体を評価すべきかなと。

——テレワークの動きが強まり、外食するより家で食べよう、みたいな流れが加速してフードデリバリーが伸びるなど、食にまつわるビジネス環境は大きく変化したように思います。食のスタイルが変わってきていることに対してはどうお考えですか。

 変わったようであまり多くは変わっていない、けっこう戻ってきたところもあるんじゃないか、と思っています。もちろんフードデリバリーやテイクアウトが増えて、われわれもそこに対応してきたところはありますが、100%元通りとは言えないまでも、15兆円規模とされる外食産業のうち、感覚的にいうと9割くらいは元通りになっているように思います。テイクアウトの需要も4~8月に比べると減って、最近は“来店”に戻っているところが明らかに見えています。

 フードデリバリーはこれからもニーズはあると思いますが、どうしても配達コストがかかってしまいます。1配送するのにそれこそ600~700円の追加料金を支払ってまで配達してもらいたい人がどれだけいるのか。そのあたりを含めてフードデリバリー市場の広がりがどれくらいになるのかを考えなければいけないと思いますね。

——フードデリバリーに関してはプラットフォーマー側の課題もありますね。

 実はわれわれも4~5月頃にフードデリバリーへの参入を検討したことがあって、でも結果的にやらないという判断をしました。すごくパワーの必要なビジネスだと思いましたし、われわれの今の事業規模でゼロからその市場に参入するのは難しいとも感じました。中国でフードデリバリーが流行っていると聞きますが、2億人もの低賃金労働者がいるからこそ成り立っているのではないでしょうか。

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