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産官学で「イノベーター人財」をどう育てるか--Edvation x Summit 2020で東大やイトーキが議論

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 国内の教育イノベーションを加速させることを目的としたEdTechグローバルカンファレンスイベント「Edvation x Summit 2020 Online」が11月3日から5日にかけて開催された。「Edvation(エドベーション)」とは「Education(教育)」と「Innovation(革新)」を掛けた造語で、テキサス・オースティンで毎年開催される世界最大のEdTechをテーマにした国際カンファレンス「SXSW EDU(サウスバイサウスウエスト・イーディーユー)」をきっかけに2017年より開催されている。

 2020年は重点テーマとして「GIGAスクール構想」「自治体、学校の取り組み」「STEAM教育」「個別最適化」が取り上げられ、国内外から幅広い関係者が登壇した。ここではその中から11月5日に行われた「『ネクストノーマル、世界基準のイノベーター人財育成に向けて』〜産官学で取り組むイノベーション・エコシステムへの取組みとは〜」の内容を紹介する。司会進行はイトーキ 先端研究統括部 統括部長の大橋一広氏が務めた。

『ネクストノーマル、世界基準のイノベーター人財育成に向けて』〜産官学で取り組むイノベーション・エコシステムへの取組みとは〜
『ネクストノーマル、世界基準のイノベーター人財育成に向けて』〜産官学で取り組むイノベーション・エコシステムへの取組みとは〜

 教育界のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、新サービスの創出や複雑な社会課題に対応するスキルが急速に求められている。本セッションではテクノロジーを活用して“イノベーション人財”をどのように育成するかについて、産官学の有識者により意見が交わされた。

 まず、文部科学省出身で東京大学 経営企画部長を務める西山崇志氏は、産学両方の立場から、大学が新型コロナウイルスの影響でどのように変わろうとしているのかを紹介した。

 「全世界の大学で経営がリセットされDXが加速している。東大でも10年以上かけてできなかった講義のオンライン化が一変して実現し、先行する海外の大学を追い抜くチャンスが訪れている。今後授業はオンラインとリアルのハイブリッドが標準になり、質の高いオンライン知育ができるようになるだろう」(西山氏)

 大学教育を大きく変えるには、デジタルキャンパス化と大学環境の変化の2段階でDXが必要だとも説明する。具体的な取り組みとして、文科省が実施する大学教育のデジタライゼーションを目指すイニシアティブ「Scheem-D(スキーム・ディー)」を紹介。UI(ユーザーインターフェイス)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の視点を取り入れ、EdTechのスタートアップと連携するなど民間と一緒に本格化する。

東京大学 経営企画部長を務める西山崇志氏
東京大学の西山氏は「大学教育を大きく変えるには、デジタルキャンパス化と大学環境の変化の2段階でDXが必要」だと説明

 人財育成についても、政府がAI戦略で力を入れるデータサイエンス教育を実現するため、先生の育成や教材開発が本格化しており、モデルカリキュラムができていることが紹介された。

 AIを活用したオンラインプログラミング学習サービスを運営するProgateで代表取締役を務める加藤將倫氏は、教育コンテンツを作成する立場から意見を述べた。同氏によれば、6月頃からオンラインのサービスの利用者が増え、コロナ禍によるDXの波を強く感じているという。

 「オンライン教材は切磋琢磨され質の高いものが登場する一方で、オンラインだけでは学習に行き詰まる利用者が一定数でてくる。学習を適切に導くメンタリングや仲間の存在は重要で、それもオンオフで交える必要があるのではないか」(加藤氏)

 加藤氏自身がそうだったように、海外のカンファレンスなどに参加して刺激を受けるのも大事で、まだ続くコロナ禍の状況でそうした体験をどう実現するかを模索しているという。

 国際大学GLOCOM プラットフォーム研究グループ 主任研究員の小林奈穂氏も、イノベーションのエコシステムを構築する課題として人の交流があると指摘する。「触れ合いを通じて自分の考えを伝えるのは重要で、大学が開かれた場になり交流機会を提供するのが大事」(小林氏)

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国際大学GLOCOMの小林氏は「大学が開かれた場になり交流機会を提供するのが大事」だと話した

 司会進行を務めたイトーキの大橋氏は、学びの場の変革と新たな機会創出の基盤づくりとして、オンラインとリアルが融合した新しい場をデザインする必要があると話す。多様自立化、個別最適化、学際協働化といったキーワードを挙げ、個別に最適化され、学際的に相互作用を生み出すキャンパスのデザインスタイルを提案した。

 このほか、東大とダイキン工業が実施している技術とアイデアとデザインを掛け合わせ、社会的課題の解決策を共同で研究する、産学共創の取り組みなどもあわせて紹介された。

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司会進行を務めたイトーキの大橋氏は「オンラインとリアルが融合した新しい場をデザインする必要がある」と話す

 続いて「キャンパスがサイバーフィジカルになるにはどうすればいいか」という話題に移った。西山氏は大学が開かれた場所になることが重要なキーワードであり、「アイデアを闘わせて磨くことを民間やリタイアした人たちも集まってできるよう、イノベーションをどう設計するかが大事」と話す。加藤氏も「幅広い人たちとリーチできる大学」という場づくりに関心があり、いろんな方面から協力したいと述べた。

 小林氏は産学連携で創出するプロジェクトベースドラーニングが大事で、学生の連携はもとより市民が教育や社会に対し力を発揮する場を作り、意識を育めるようになるのが大事ではないかと提案した。

 最後に大橋氏は、今後加速する教育イノベーションにあわせたデザインがこれから求められるだろうと話し、「設計もリアルな空間で働くことを前提に考えられてきたが、オンラインも含めた新しい発想が必要であり、今日のトークを活かしていろいろ考えていきたい」と述べてセッションを締め括った。

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