米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は米国時間11月12日、選挙インフラのセキュリティを監視する他の各専門機関と共同で声明を発表し、2020年の米大統領選挙の開票作業にハッカーらが干渉したとする主張を否定した。この声明には全米州務長官協会(NASS)、全米州選挙管理者協会(NASED)および選挙の専門家らが名を連ねている。11日には、CISAのChristopher Krebs長官がホワイトハウスに解任されることも覚悟していると、Reutersが報じていた。
この声明でCISAらは2020年の米大統領選について、「米国史上最も安全」だったとし、さらに「投票システムによって票が削除または紛失されたり、投票内容が変更されたり、あるいは何らかの不正が行われたりした証拠はない」と述べた。この声明は、自分に投じられた票が投票システムによって削除されたと、証拠もなく主張するDonald Trump大統領のツイートから数時間のうちに発表された。選挙管理当局の専門家らやファクトチェックグループは、この主張を虚偽だと結論づけている。
12日午後から13日の朝にかけて、Trump氏はTwitterで、今回の大統領選挙は投票システムによって不正に操作されたという虚偽の主張を続けた。Twitterはこれらのツイートに「疑わしい」というラベルをつける一方で、Joe Biden氏が大統領として指名される予定だと表示している。
米国土安全保障省の1部門であるCISAがセキュリティを任されている米国の選挙システムは、米国の送電網や金融システムと同様の重要インフラに分類されている。CISAは、2020年の選挙期間中、選挙でハッキングや不正があったという主張が虚偽であることを示すため、Rumor Controlというウェブサイトを運営してきた。Reutersによると、CISAは、民主党が大掛かりな不正投票を仕掛けたという主張が虚偽であることを示した情報を、編集するかウェブサイトから削除するようホワイトハウスから求められたが、拒否したという。
ホワイトハウスとCISAにコメントを求めたが、今のところ回答はない。Mark Warner上院議員(バージニア州選出)はTwitterで、Krebs長官のCISAでの働きを称賛し、「彼は政権の中で、両党のあらゆる人から尊敬される数少ない人物の1人だ。彼の解任を正当化することは不可能だ」とした。
Trump氏と代理人らは、他にもいくつか根拠のない選挙の不正を主張しているが、これらは選挙当局、目撃者や報道機関から虚偽の主張だと反論されている。Trump氏による広範な虚偽の主張の中には、死亡した人の名義の投票がカウントされているというものや、悪党が集計後に投票結果を書き換えたというものが含まれているが、これらの主張はRumor Controlのウェブサイト上で、虚偽だと論証されている。
サイバーセキュリティの専門家は、選挙の合法性を損なおうとするこれらの主張を、今回の選挙に関する最大のセキュリティリスクの1つと見なしている。Krebs長官は選挙の正当性を疑問視する根拠のないうわさが選挙後に横行するだろうと夏に警告しており、サイバーセキュリティ会議の出席者に対し、「(SNSで)シェアする前に考えよう」と求めていた。
選挙のセキュリティに関する専門家は、選挙が不正、あるいはハッキングされたとする情報は投票後に増加する可能性が高いと発言していた。新型コロナウイルスの影響によって前例のない数となった不在者投票を選挙当局がカウントする間、有権者が何日も待たされることが予想できたからだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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