フードデリバリーサービスのDoorDashは米国時間11月13日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の申請書類を提出した。それによると、9月30日までの9カ月間の売上高は19億ドル(約2000億円)で、前年同期の5億8700万ドル(約610億円)から増加している。
また、同期間の純損失は1億4900万ドル(約160億円)で、前年同期の5億3300万ドル(約560億円)から減少した。
DoorDashにとって、ここ数カ月は好業績が続いた。新型コロナウイルスによって世界中の人が外出を控え、家に閉じこもっていたからだ。
同社の共同創設者で最高経営責任者(CEO)のTony Xu氏は、申請書類の中で次のように述べている。「弱者のために闘うことは私の信条であり、企業としての当社の信念でもある。2013年のDoorDash設立以来、Oren's Hummusのような家族経営の小さな店からレストランチェーンChili'sのゼネラルマネージャーたちまで、数えきれないほど多くの店舗と話をしてきた。その生み出して築き上げることへの飽くなき意欲や地域社会への貢献には、頭が下がる思いだ」
DoorDashは申請書類の中で、同社のプラットフォームを利用する顧客は1800万人以上、業者は39万人以上、Dashersとして知られる配達員は100万人以上であることを明らかにしている。また、サブスクリプションプログラム「DashPass」の会員が500万人を突破したことも明らかにした。DashPassは、月額9.99ドル(約1000円)を支払うと、対象店舗からの配送料が無料になるサービスだ。
Xu氏は、「アイスクリームを溶ける前に配達し、ピザを冷める前に配達し、食料品を1時間以内に配達できれば、市内でのあらゆる商品のオンデマンド配達を実現できる」としている。DoorDashは主にレストランなどの料理の宅配で知られていたが、8月には食料品の配達も開始している。
DoorDashは、カリフォルニア州で議論を巻き起こした「Proposition 22」の住民投票キャンペーンで支持勢力の先頭に立った。この発案は11月3日に58%の賛成票を得て可決された。DoorDash、Uber、Lyft、Instacart、Postmatesらが提案したもので、カリフォルニア州法の改正により、ギグエコノミー企業がドライバーや配達員を従業員とせず、個人事業主と位置付けられるようにすることを目的としている。DoorDashはこの住民投票キャンペーンに4800万ドル(約50億2500万円)以上を投じた。このキャンペーンは、総額2億500万ドル(約210億円)という記録的な資金を集めた。
Proposition 22に反対する人たちは、労働者を搾取しているとしてギグエコノミー企業を批判していた。
DoorDashは、ギグエコノミー企業と協力し、Proposition 22のモデルを米国の他の地域でも実現する計画だとしている。
同社はIPO申請書類の中で、「連邦法または州法の下でDasher(DoorDashの配達員)が従業員に分類し直されれば、当社の事業、財務状況、業績は悪影響を受ける」とした。こうした悪影響を引き起こし得る要因として、差別的待遇や従業員給付に関する申し立てと併せ、同社が現行の事業慣行を続けられないようにする法的差し止め命令などの状況を挙げている。
DoorDashの事業に対するもう1つのリスク要因は、「費用対効果の高い方法でDasherを引きつけて維持する」能力にある。DoorDashは、「当社のプラットフォームや会社に対する否定的な見方は、われわれの評判やブランド、地域のネットワーク効果を損なう可能性がある」とも述べている。
DoorDashは株式非公開企業としてすでに25億ドル(約2620億円)を調達しており、直近の非公開評価額は160億ドル(約1兆6700億円)となっている。なお、Uber Technologiesの株式公開企業としての現在の評価額は830億ドル(約8兆6900億円)だ。UberとGrubHubが、DoorDashの最大の競合相手となっている。
DoorDashは、米国市場における地位は強固だが、激しい競争と、複数のアプリ間を行き来する顧客が同社の将来の事業に対する脅威となる可能性があるとしている。
DoorDashは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)にティッカーシンボル「DASH」で上場する予定だ。取引は12月中旬に始まる見通しとなっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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