フォースタートアップスは11月12日、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」において、2020年1月から10月までを対象とした「国内スタートアップ資金調達金額ランキング」を発表した。
それによると、新たにSpiberが6位、アストロスケールホールディングスが9位にランクインした。また、Looop(4位)とアンドパッド(7位)が前回のランキングから順位を上げている。
人工タンパク質素材「Brewed Protein」を開発するSpiberは、米国の穀物メジャーであるArcher Daniels Midland Company(ADM)を引受先とする59億7000万円の資金調達を実施。ADMと「Brewed Protein」の米国での量産における業務提携および、製造委託を締結し、今まで以上にパートナーシップを拡大させる方針だ。
アストロスケールホールディングスは、持続可能な宇宙利用を目指し、シンガポールを拠点にスペースデブリ(宇宙ごみ、デブリ)除去サービスに取り組むスタートアップ。同社は、エースタートをリードインベスタートし、アイネット、宇宙フロンティアファンドを管理するスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー、清水建設を引受先とする、シリーズE総額約55億円の第三者割当増資を実施。今回の調達により、累計資金調達額は約210億円に達した。
順位を上げたLooopは、再生可能エネルギーを中心としたエネルギーサービスを提供するスタートアップ。同社では、6月の総額28億3000万円の資金調達以降、さらに融資を受けたことがランクアップの要因。調達資金については、発電所の開発・運用利用される予定だという。
クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を提供するアンドパッドは、シリーズCエクステンションラウンドとして、リードインベスターとなるMinerva Growth Partnersと、Sequoia Capitalを引受先とする20億円の資金調達を実施。シリーズCラウンドの累計調達額は約60億円となった。
今回の調達した資金は、両投資家ともに日本における投資第1号案件になるという。同社では、SaaS関連企業やDX関連企業への豊富な投資経験を持つ国際投資家の知見を活用することで、プラットフォーム戦略を加速し、建設業界のDX化を推進していく方針だという。
カテゴリー別では、金融領域と環境・エネルギーが4社、自動車が3社がランクインした。環境・エネルギー領域では、新たにランクインしたSpiberのほか、電力コストの経営課題を解決するVPP Japan、次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPB、再生可能エネルギーなどの電力小売サービス「Looopでんき」を提供するLooopが名を連ねた。この4社はいずれも2020年に入って55億円以上の資金を集めている。
しかし、突出して社数の多いカテゴリーがないことから、今回のランキングではさまざまな分野の企業が大型調達をしていることがわかる。
今回ランクインした企業のうち、累計資金調達金額100億円を突破している企業は、前回の国内スタートアップ資金調達ランキング(2020年1-9月)でもランクインをしたMobility Technologies、VPP Japan、ヘイ、Looop、アストロスケールホールディングス、Paidy、ティアフォー、五常・アンド・カンパニー、FiNC Technologiesのほか、Spiberが新たに加わり10社となった。
ランクイン企業20社のうち、設立5年以内の企業は全体の半数の10社。中でも、VPP Japan、アストロスケールホールディングス、ティアフォーは設立5年以内で累計資金調達金額が100億円を超えていることがわかる。
フォースタートアップスでは、11月2日時点での「国内スタートアップ想定時価総額ランキング」も発表している。それによると、10月のランキングでは14位だったティアフォーが12位に浮上。想定時価総額が523億円から65億円増加し、588億円となっている。
ティアフォーは、世界初のオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発を主導しており、組織・個人が自動運転技術の発展に貢献出来るエコシステムの構築を目指している。9月には、ブレインフォーと南福岡自動車学校を運営するミナミホールディングスの3社で、自動運転技術を活用した運転技能検定システムおよび、教習システムを共同で開発。3社で事業化に向けて協業することを発表していた。
前回のTOP20企業の累計調達金額から大きな変化がみられたのは、Spiberとアストロスケールホールディングスの2社。いずれも、「国内スタートアップ資金調達金額ランキング」に新たにランクインしている。
これまでSpiberは、およそ415.8億円を調達。現在、タイに工場を建設中であり、2021年中の稼働を目指している。
また、想定時価総額ランキングで10位となっているアストロスケールホールディングスは、今回の約55億円の資金調達を受けて、デブリの低減・除去、軌道上サービスのミッション実現に向けての動きを加速。スペースデブリ(宇宙ごみ)に対して、技術、ビジネスモデル、法規制に取り組んでいく方針だという。同社の創業者兼CEOの岡田光信氏は、10月15日に行われた国際宇宙航行連盟(International Astronautical Federation)の総会にて、副会長に選任。宇宙産業のさらなる振興に尽力していく予定。
カテゴリー別にみてみると、環境・エネルギーと金融が4社と最も多く、次いで自動車領域が3社と続いている。そのほか、前回と変化はない。
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