シアトルの連邦裁判所は米国時間11月9日、Microsoftから多額の金をだまし取った詐欺の罪などで、同社勤務のエンジニアだった男に9年の刑を言い渡した。米司法省によると、Volodymyr Kvashuk被告(26歳)はMicrosoftから1000万ドル(約10億5300万円)以上の金をだまし取ったこの詐欺に関連して、連邦法の重罪にあたる18件の容疑で有罪と認められた。被告はまた、詐取した金のうち800万ドル以上の返還を命じられた。
Kvashuk被告はウクライナ人で、ワシントン州レントンに在住していた。最初は請負労働者だったが、2016年8月からはMicrosoftの従業員となり、2018年6月に解雇されるまで働いていた。司法省によると、被告は2020年2月に「通信詐欺5件、資金洗浄6件、加重身元詐称2件、虚偽の納税申告2件、郵便詐欺1件、デバイスアクセス詐欺1件、および詐欺の実行のために保護されたコンピューターにアクセスした罪1件について、陪審から有罪を言い渡された」。
「勤務先から金を盗むことだけでも十分に悪いが、盗んだ上に同僚に罪を擦り付けようとしたことは、単なる金銭略取よりもさらに悪い」とBrian T. Moran連邦検事は述べた。「本件の調査と審理は高度な技術的スキルを要した」
Kvashuk被告は、Microsoftのオンライン小売販売プラットフォームのテストを担当しており、業務で得たアクセス権を悪用して、あらかじめ貨幣価値を保存しておくストアドバリュー型カード(デジタルギフトカードなど)を盗んだ。さらに、これをオンラインで売却し、その売り上げで湖畔にある160万ドル(約1億7000万円)の住宅や16万ドル(1700万円)のTeslaを購入した。
司法省によると、最初は額が小さく、Kvashuk被告本人のアカウントを使って詐取した総額は約1万2000ドル(約126万円)相当だったという。だがその後、被告は他の従業員に結びつけられたテスト用のメールアカウントを使って犯行を重ねた。形跡を隠すため、被告は資金の出所を隠すことができるビットコインの「ミキシング」サービスを使い、最終的に自身の銀行アカウントに送金した。7カ月の間に、約280万ドル(約2億9500万円)相当のビットコインが被告の銀行口座と投資口座に送金された。被告は納税申告書にも虚偽の内容を記述し、これらのビットコインは贈られたものだとしていた。
この事件を担当した担当した米内国歳入庁(IRS)犯罪捜査局の特別捜査官、Ryan L. Korner氏は声明で、「Microsoftから金をだまし取り、さらに納税申告を偽ったKvashuk被告の犯罪行為は、ビットコインに関する犯罪に税金が関係するものとしては米国初の事例だ」と述べ、以下のように続けた。「今日の判決が示しているのは、インターネットを通じて金を盗み、ビットコインによって犯罪行為を隠すことは期待できないということだ」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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