コロナ禍の「Windows」PC、企業向けが振るわない背景

Mary Jo Foley (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2020年11月03日 07時30分

 Microsoftの2021年第1四半期(2020年7〜9月期)の業績は、売上高は372億ドル、純利益は139億ドルという力強いものだった。商用クラウドの売上高は前年同期比31%増の152億ドルだ。だが、コンシューマー向けPC事業の売上高は上がったにもかかわらず、商用の「Windows」OEM(Windows OEM Pro)事業は前四半期よりもさらに不調だった。

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提供:Microsoft

 新型コロナウイルスのパンデミック(による在宅での仕事や学習の急増)のため、PC業界は復調したのではないのだろうか。しかし、物事はそれほど単純ではないことが明らかになった。

 MicrosoftのMore Personal Computing部門には、Windows、「Surface」、「Xbox」を含むゲーム、検索広告が含まれる。同部門の6〜9月期の売上高は118億5000万ドルで、前年同期より6%増加したが、前四半期の129億1000万ドルより下がった。SurfaceとXbox・ゲームは好調で、検索広告の減収幅も前四半期より縮小した。Windows OEM Pro事業が6〜9月期の同部門の足を引っ張った。

 OEM non-Pro(コンシューマーおよび小売)の同四半期の売上高は前年同期比31%増だ。Microsoftが前四半期に説明したように、これはパンデミック中に家庭と教育で使う目的でPCを購入する人が増えたためだ。だが、同四半期の商用Windows OEMの売上高は22%減だ。

 「人々はかつてなくPCを必要としている」という理論は、なぜ従業員がリモートワークに従事している企業には当てはまらないのだろうか。

 Microsoftの最高財務責任者(CFO)、Amy Hood氏は10月27日の業績発表後の会見で、Windows OEM Pro事業は商用Windows製品とクラウドサービスの両方への企業需要の低下の影響を受けたと説明した。同氏は、Microsoft 365のセキュリティサービスは好調だったが、四半期ごとの収益認識に大きく影響する複数年契約が少なく、継続的な取引が弱かったと語った。また、前年同期にはWindows Pro事業はWindows 7のサポート終了の恩恵も受けたが、現在はその影響はほとんどない。さらに、前四半期同様に、中小企業顧客は小売店からPCを購入することもあり、その場合はnon-Pro事業の売り上げとみなされる。

 IR担当ジェネラルマネジャーのMike Spencer氏は筆者の取材に対し、Windows OEM Proの需要の低さの原因の1つは「大企業顧客は、ハードウェア予算でサーバなどを優先する」ことだと語った。同氏によると、Microsoftは、企業には購入から5年以上経つ「更新が必要とされる」PCがまだ多数あると確信しているという。だが、企業にとって、それは最優先事項ではないのだ。

 Hood氏は見通しについての説明の中で、10〜12月期もOEM non-Pro Windowsの好調を見込むと語った。Microsoftは2020年のホリデーシーズンに多数のSurfaceデバイスを用意しており、Windowsのパートナー企業も多数の新PC製品を発表済みだ。それでも、OEM Pro事業は10〜12月期も企業需要低下の影響を受ける見込みだとHood氏は語った。

 いくつかの領域での企業需要が落ちていると認めているのはMicrosoftだけではない。SAPは25日、第3四半期(7〜9月期)の業績発表で、複数の業界で投資が減速しており、それが取引業務やオンプレミス支出の減少に拍車をかけていると説明した。こうした傾向の中、SAPはクラウドへのシフトを加速させている。これが、Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏が、Windowsにますます力を入れつつ、クラウドとサブスクリプション事業にも重点を置くと語った理由だ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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