Relic、クラウドファンディングの「今すぐ始めたい」に応えるSaaS型のプラットフォーム「ENjiNE」 - (page 2)

クラウドファンディングの課題を解決する「同時掲載」

――サイト構築後もプロジェクトを募集したり、集客したりと、クラウドファンディングサービスを軌道に乗せるまでには時間がかかります。

 トラフィックが集まらない、再訪者数が少ないといった集客面のほか、プロジェクトの量や質、購入へのコンバージョンなど、多方面において気を配らなければならないのがクラウドファンディングサイト運営です。Relicでは、そのすべての段階において伴走させていただく形でサポートを実施しています。「同時掲載」という他社サービスにはない手法を使っていることも特徴で、ENjiNEならではのサービスと言えるでしょう。

 同時掲載は購入型や越境型で利用できる機能で、1つのプロジェクトをENjiNE上の複数のクラウドファンディングサイトで同時掲載できるというもの。導入企業間で相互に集客できることがメリットです。これにより、プロジェクトの相互補完もできますし、複数のサイトで支援金を募れる。サイト運営者にとっても、プロジェクトオーナーにとってもメリットのある仕組みになっています。

 クラウドファンディングに掲載するプロジェクトの多くは、多くの人の目に止まってもらいたいという思いがあります。しかし1つのサイトでは、その数に限界がある。ENjiNEの同時掲載はそうした課題を解決できる仕組みになっており、現在多くのプロジェクトが同時掲載の形をとっていただき、複数のクラウドファンディングサイトに掲載されています。

――購入型では新たな販路としても注目されるクラウドファンディングですが、2016年のプラットフォーム提供開始から約4年が経ち、市場自体も変わってきていますか。

 クラウドファンディングが始まった当初は、寄付型の要素が強かった。被災地への支援や店舗の開店資金がないという人に向けたサポート的なプロジェクトが多く立ち上がっていました。

 そうした支援に特化したプロジェクトはもちろん今でも多くありますが、それ以上に増えてきているのは、テストマーケティングや商品プロモーションの場としての役割です。実際の購入が発生するという意味でクラウドファンディングはかなり精度の高いテストマーケティングを実施することができますので、今後も多くの新商品や新サービスの事業検証に利用されると思います。

「同時掲載」の仕組み
「同時掲載」の仕組み

マーケティング手段としての位置付けを確立したい

――クラウドファンディングをテストマーケティングとして利用するケースはたしかに増えてきていますね。

 購入型のENjiNEを導入していただいているクラウドファンディングサイトはメディアが多く、特色を持つサイトが多い。例えば日経新聞社様が運営する「未来ショッピング」はビジネスパーソンに強いという特徴がありますし、主婦と生活社様が立ち上げた「Fannova」は女性のお客様に支持されています。そうした特色あるサイトがENjiNEの中にはいくつもあって、さらにそれを同時掲載の仕組みで横展開できる。この2つを組み合わせることで、テストマーケティングに必要なデータをより精緻に提供できると考えています。

 この強みをさらに高めるため、今後は、オフラインとの連携も積極的に展開していきます。

――すでに具体的に動き出しているものもありますか。

 7月にサービスとしての小売「Retail As a Service」(RaaS)を展開する米国の小売「b8ta(ベータ)」様の日本上陸に合わせてパートナー契約を結び、クラウドファンディング実施中の企業に対して、実店舗と連携したテストマーケティングの仕組みを提供開始しました。

 b8taは体験型小売店で、現在、新宿と有楽町に2店舗を構えています。D2Cブランドのコスメ、ファッション、フードなど幅広い商品ラインアップをそろえ、商品の前を通り過ぎた人の数や、商品の前で5秒以上立ち止まった人の数、そこから購入につながった数など、来店客の情報をデータ化していることが特徴で、b8taに出店することでオフラインの購買データも合わせて取得できるようになります。

 以前にも、出版取次のトーハン様と連携して、書店「ブックファースト新宿店」に期間限定で人気プロジェクトの展示販売をしたり、伊勢丹メンズ館でポップアップショップを開いたりと、オフラインと連携した取り組みは進めていましたが、今後も強化していきたいポイントです。

 実際、商品を手にとってみたいというニーズは今も変わらずとても高いです。クラウドファンディングは先進的な商品を扱うことが多いですし、今まで見たことのない商品の場合もある。実際に商品を見られるクラウドファンディングサービスの需要は今後も増えていくでしょう。

――オフラインとの連携も含め、今後の取り組みについて教えてください。

 よりユーザーが集まりやすい仕組みを強化していきたいと考えています。すでにENjiNEをお使いいただいている企業には新聞社などメディアも多く、その集客力は大変魅力的です。一方で、ENjiNEにも公式SNSアカウントに30万人を超えるフォロワーがいますし、「Fintenna」という不動産投資型クラウドファンディングやソーシャルレンディングに特化したメディアも運営しています。これをさらに強化して、より発信力を高めていきたいと考えています。

 機能面では、決済手段を増やしたり、管理画面を使いやすくしたりと常にブラッシュアップを心掛けています。例えば以前は、立ち上げたクラウドファンディングサイトの趣旨を説明するランディングページの作成は弊社側で行っていましたが、現在は導入企業側で簡単に作成できる機能を追加しました。利便性や自由度の高いSaaSとして進化を遂げていくことが、サイトを運営する企業の負担軽減につながります。

 機能面の強化とマーケティング手段としての精度の向上、この2つを強化し、より多くのクラウドファンディングサービスを支援していきたいと思っています。

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