朝日インタラクティブは9月16日、「CNET Japan Conference 不動産テック オンラインカンファレンス2020」の第3回を開催した。
ここでは、同日の1つ目のセッション「不動産投資型クラウドファンディングで開く不動産事業の未来」の模様をレポートする。登壇したのは、企業の新規事業開発支援を手がけ、「不動産投資型クラウドファンディング Powered by ENjiNE」を展開する、Relicのインキュベーション事業部 事業プロデューサー 加藤隼氏だ。
Relicは、「デジタル×新規事業」を強みとして、新規事業支援を手がける会社だ。構想から事業化まで、戦略設計、システム開発、マーケティング支援などの一気通貫した支援を行っている。これまでに、大企業とスタートアップ約2000社、1万以上の事業プランやアイデア創出に関わっており、支援実績は業界トップクラスだという。
事業の柱は3つ。新規事業に特化したシステムの開発や提供では、SaaS形式からスクラッチ開発まで、さまざまなニーズに対応する。事業創出支援においては、事業戦略立案単体のコンサルティング支援だけではなく、事業開発の一実行部隊として、テストセールスやマーケティングなど、新規事業創出に必要なフェーズを一気通貫で支援する。また、投資や協業、JV設立も推進している。「購入型クラウドファウンディングについては、自社事業として運営も行っている。実体験に基づいた納得感のあるご提案や機能の提供が行えるのは、他社支援と自社事業の二軸を持つRelic独自の強み」と加藤氏は話す。
加藤氏自身も、エンジニア出身で前職では経営企画部に所属し、子会社の立ち上げや事業化を行ってきた。これらの実績を生かしてRelicでは、新規事業創出支援と並行し、不動産投資型クラウドファンディングとソーシャルレンディングの事業責任者をつとめている。
当日は最初に、加藤氏が「いま新規事業開発に取り組む重要性」と「不動産投資型クラウドファンディング」について解説した。次に、RelicのSaaS型クラウドファンディング・ECサイトのプラットフォームである「ENjiNE(エンジン)」の導入事業者である株式会社PARTNERSと共に、対談方式で不動産投資型クラウドファンディングを検討する事業者の疑問や不安に答えるコンテンツを提供した。最後は、加藤氏が「ENjiNE」の特徴紹介と新規事業におけるシステム開発に対するRelicの考えを説明した。
なぜいま、新規事業開発に取り組むべきなのか。そのキーワードとして、加藤氏は「コロナ禍」を挙げた。
「コロナ禍の影響で既存事業が減収減益となっている企業もあり、ビジネスの抜本的な見直しが求められている。消費者の行動にも、大きな変化が生じている。このため対面を中心とした既存の事業や業務が衰退期に入り、従来通りの結果を生み出すことが難しくなってきているのではないか。With/Afterコロナにおける環境変化に立ち向かうためには、主力事業に余力がある早期に、既存事業が持ち直すまでに必要なキャッシュや相乗効果を生む新規事業に取り組むことが重要だ」(加藤氏)
その一例として、「飲食は店舗から宅食に」「イベントはオンラインに」「家探しや内見はVRやスマートロックを活用した方法に」「商談や契約はオンラインに」と、さまざまなビジネスやライフスタイルに変化か起きていることを紹介した。
不動産業界においても、2017年から「IT重説」(ITを活用した重要事項説明)を政府が推進するなど、従来の取引方法を抜本的に変える取り組みはすでに始まっている。加藤氏は、「遠隔で直接会わずに従来通りの取引をできる方法が、いま急速に普及してきている。非常に大きなターニングポイントだ」と指摘し、いま新規事業に取り組む必要性について、3つのポイントを挙げた。
「業種業態を問わずオンライン化の流れは加速している。顧客にも受け入れられ、一般的になりつつある。実際に不動産業界においても、非対面やオンライン化は急速に進んでいる。いまこそ、DXを活用した新規事業について真剣に検討していくことが必要だ」(加藤氏)
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