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SBロボティクスの配膳ロボ「Servi」が切り開く「人とロボットが連携して働く未来」

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 新型コロナウイルスの影響によって、我々の食生活には大きな変化が起きている。特に、外食・飲食産業のダメージは大きい。本誌CNET Japanが10月に開催した「フードテックカンファレンス2020」では、「ニューノーマルの飲食業界の課題をロボットで解決する」と題して、ソフトバンクロボティクスの配膳・運搬ロボット「Servi(サービィ)」にフィーチャーした。

 「Servi」は、人型ロボット「Pepper」、AI清掃掃除ロボット「Whiz i(ウィズ・アイ)」に続いて、ソフトバンクロボティクスが発表した最新ロボット。コンセプトは「人とロボットの共生」としている。ソフトバンクロボティクス 常務執行役員 Chief Business Officer 坂田大氏とCNET Japan編集長の藤井涼の対談形式で、外食産業におけるこれからのロボットの役割を紐解いた。

人とロボットが「連携」して働く未来

 セッションの前半は坂田氏が、コロナ禍におけるロボット導入状況やServiの機能、導入メリットについて概要を説明した。

 例えばPepperは、東京都の全ての軽症者保養施設に導入され、施設入り口で受け入れ時の説明をしているという。商業施設や店舗では、「発熱を検知して声がけをする」というスタッフの代替として稼働しているそうで、坂田氏は「人間が声をかけるよりも、Pepperのほうが比較的和やかである」とロボットの利点に言及した。またWhiz iは、自律的に清掃をしながら消毒までするという作業を、高輪ゲートウェイ駅をはじめ約5000カ所の生活インフラ施設で行っているという。

 「新型コロナウイルスで、世界は本当に変わった。感染の恐怖を感じながら、新しい生活様式に慣れざるを得ない状況下で、非接触も含めてロボットができることはどんどん任せていきたいという、期待感の高まりを強く感じている」(坂田氏)

 このようななか、9月28日に発表された配膳・運搬ロボットServiだが、実は2年前から開発が進められていた。坂田氏は、「コロナがあろうがなかろうが、外食産業は人件費の高騰や人手不足などの構造的な課題を抱えていた。さらにコロナ禍での営業自粛や、座席間の距離確保による客数減少に追い討ちをかけられ、生産性改善は待ったなしの状態。非接触というニーズも一気に高まっている」と状況を説明。Serviがホール業務のパートナーとして活躍することで、外食産業の生産性向上ニーズに応えたいと話した。

 外食産業におけるホール業務は、座席案内、注文受付、配膳、お会計、見送り、下げ膳など多岐に渡る。ソフトバンクロボティクスでは、こうしたマルチタスクを全てロボットに担わせるという発想ではなく、「人は接客やサービスを、ロボットは運搬するという作業を、連携しながらやっていく」ということをServiのコンセプトに据えた。同社はビジョンでも掲げている「人とロボットの共生」する世界を外食産業においても目指していとのこと。

 Serviの特徴は、SLAM技術搭載により、事前に店内のマップ作成とトレーニングを行うだけで、目的地までの最短ルートで移動できるようになること。そして、3台の3DカメラとLiDARセンサーの搭載により、人や物を検知して狭い通路でも店内をスイスイと動き回れることにある。

 坂田氏は、「店内マップ作成などの事前準備は、3時間あればできる。多岐に渡るホール業務のうち、配膳と下げ膳という作業に絞ってServiに任せることで、スタッフのホール滞在時間の増加、ピーク時の座席回転率の向上および売上アップ、来店者と従業員の両方の満足度アップなど、さまざまな効果が見込めることは実証実験でも確認できた」と話した。

店舗主体での配膳ロボット活用法ハックが進む

 セッションの後半はソフトバンクロボティクス坂田氏とCNET Japan編集長の対談で、Serviの利便性や外食産業におけるロボット活用の展望ついて掘り下げた。

--配膳・運搬ロボットは他社からも発表されていますが、差別化ポイントとしてはどのような点が挙げられますか?

 人や物を回避するときのスムーズな動きです。他社製品では人が前から来ると安全確保のためにいったん停止してしまうロボットも多いのですが、Serviは移動しながらスムーズに避けてすれ違うことができるのです。Serviはこれまでの半年間の実証実験ですでに合計約3000kmを走行してきましたが、ベビーカーが通れる60cm位の幅があればServiも通れるので、お客様からも『すれ違うのは、できるようでできなかった』とご好評いただいております。これは、レストランなど複雑な環境で動くためのハードとソフトのインテグレーションを、時間をかけて経験を積みチューニングしてきた結果が出ているのかなと思っています。

--止まらずにすれ違えるのは確かにすごいですね。事例やエピソードがあれば、教えてください。

 例えば、物語コーポレーション様との実証実験では、Serviが 1日に300回も配膳をでき、かつお客様数も大変多い現場の慌ただしいオペレーションにも耐えられると判断いただいた好例だと思います。物語様では、約310店舗443台の導入が決定しています。

--実証実験に参加された企業さんからは、他にはどのようなフィードバックがありましたか?

 実証実験の達成目標として多かったのは、『ホール滞在時間を伸ばす』ことでした。例えば、あるお客様ではホール滞在時間が倍になったのですが、ここにはいくつも意味があります。まず、接客する時間が増えて追加の注文をいただきやすくなったそうです。また、ずっとホールにいるということはキッチンとホールの往復が減ったということなんですね。その分、スタッフの方は体力的にものすごく楽になったとおっしゃっていましたね。

 あとは、スタッフの方の勤務時間も削減できました。開店前の準備で必要な物を全てServiに積んで、一緒にテーブルセッティングしていくことで、効率が上がったのです。イメージ的には、スタッフにServiが荷物を持ってついてきてくれている感じです。もちろん配膳と下げ膳もServiが行い、閉店時にもテーブルにある物をServiにどんどん載せて、Serviが運んでいる間に人間はテーブルを拭くなど、“共生”を実現できたようです。ある店舗では、Serviを別店舗に移動させる際、送別会を開いてくれたという話も聞きました。

 人間とロボットが最も効率よく働けるための方程式というか、早期にオペレーションを最適化させるソリューションを我々は持っていますので、それをお客様にお伝えしたことが一番喜んでいただけたポイントだと思います。

--配膳だけではなく、準備や片付けて人と一緒に回ってくれるなど、いろいろな活用方法があるのですね。

「そうですね。実は、我々が当初想定していなかった使い方を、お客様がご自身で思いついて、実際にやっていらっしゃるケースもあるんですよ。面白かったのは、回転寿司の店舗で、Serviの上にデザートを載せて各テーブルをぐるぐる回らせた取り組みです。そうすると100個位デザートが売れたとか(笑)。Serviは子どもウケもよいので、子どもにせがまれて親がデザートを取るという…。この業務を人がずっと続けるのは辛いですが、ロボットなら延々続けられます。販促のような使い方もあるな、とお客様から教えていただきました」(坂田氏)

--それは発想がなかったので面白いですね。ちなみに、飲食店以外での活用の可能性についてはいかがでしょうか?

 いまお話したような販促用途は、小売店舗で“最も目立つ商品棚”として利用いただけると思っていまして、具体的に実験してみましょうという話も出ていますね。あとは倉庫や工場などは広大なので、工具などちょっとした物を歩いて取りに行く作業が業務時間に占める割合が大きいのですが、その作業そのものには価値はないですよね。こういう作業をロボットに代替してもらう可能性もあると思います。

--本当に、さまざまな活用方法がありますね。実際に、自社で活用するイメージをより具体的に描いてもらうための体験会も行っていらっしゃると聞きました。

 はい。渋谷で私たちが運営している「Pepper PARLOR」というカフェで、Serviは実際に働いているのですが、お客様の店舗でのServi利用を想定した無料体験会も実施しています。お店のお皿やグラスをお持ちいただき、可能であれば店内のマップなどもご用意いただいて、お客様の店舗に近いレイアウトを作って、半日ほどかけてServiを体験していただいています。

 坂田氏は、「Servi自体にアームなどを付けて物を載せるなどは、まだ考えていない」と話し、「現段階では、既存のレストランのハードやオペレーションを中心に、置き換えられる部分を置き換えていくことが重要だ」と指摘した。いま大切なのは、人とすれ違えるスムーズや、誰でも簡単に操作ができ、重量センサーで料理を配膳できたら次のテーブルへ向かうといった“現場での使いやすさ”だという。理由はシンプルで、「使いづらいものは従業員が使わないから」。最後に坂田氏は、「将来的には、ロボットが働きやすい“ロボットフレンドリー”な店舗も、ゼロから手がけたい」と言及。2021年1月に発売予定だというServiは、ロボットが社会や生活に受け入れられた未来を切り開いていく存在になるのかもしれない。

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