GitHub、YouTube動画をダウンロードする「youtube-dl」プロジェクトを削除

Catalin Cimpanu (ZDNET.com) 翻訳校正: 湯本牧子 吉武稔夫 (ガリレオ)2020年10月26日 11時19分

 GitHubは米国時間10月23日、米レコード協会(RIAA)から法律に基づく要請を受け、18件のプロジェクトを削除した。

GitHub
提供:GitHub

 この日に削除されたコードリポジトリはすべて、「youtube-dl」プロジェクトに関連するものだ。

 youtube-dlはPythonで書かれたライブラリーで、開発者はこれを利用して、YouTube動画で使われているソースの音声ファイルや映像ファイルをダウンロードできる。

 RIAAは、GitHubに送付した書簡の中で、「このソースコード(youtube-dlライブラリー)の明確な目的は、(i)YouTubeなどの許可されたストリーミングサービスで用いられている技術的保護措置を回避し、(ii)許可なく(中略)ミュージックビデオや録音された音声を複製して配布」することだと主張している。

 RIAAは同プロジェクトのソースコードについて、「著作権で保護された以下の作品の複製や配布に使われていることを明確に示している」と述べ、複数の実例を挙げた。

 RIAAは、加盟企業が米レコード業界全体の流通量の約85%を占めるとされる業界団体だ。そのRIAAがGitHubに対し、youtube-dlプロジェクトをフォーク(他のユーザーが管理する複製)と併せてサイトから削除するよう要請した。

 RIAAの書簡にはyoutube-dlと17のフォークへのリンクが記載されており、現時点でいずれもアクセスできなくなっている。

 GitHubは、RIAAの書簡をデジタルミレニアム著作権法(DMCA)のテイクダウン(削除)申請に分類したが、厳密には異なる。非営利のデジタル権利擁護団体Public Knowledgeの法務担当ディレクターJohn Bergmayer氏が指摘しているように、RIAAはライブラリーに著作権を侵害されたと主張しているのではなく、ライブラリー自体がそもそも違法だと主張しているからだ。

 この見方は間違っていない。なぜなら、問題のライブラリーは、インターネットユーザーがYouTubeのミュージックビデオをMP3の音楽ファイルとしてダウンロードし、料金を払わずに自身のスマートフォンに取り込んで聴けるようにするYouTubeリッピングサービスを開発するのに使われることが多いからだ。

 非営利組織Freedom of the Press Foundation(報道の自由財団)のメンバーであるParker Higgins氏は、youtube-dlについて、インターネットアーキビストにとっても不可欠なツールになっていると指摘した。こうした人々は、暴力や社会的不公正を描いた動画が暴力の描写を禁じるYouTubeの規則に違反しているとしてサイトから削除される前にダウンロードするのにyoutube-dlを利用することが多い。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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