米国の名門大学であるニューヨーク大学(NYU)の研究者らが、Facebook上の政治広告に関する情報を可視化する目的で立ち上げたプロジェクトをめぐり、同社と対立している。
Facebookは米国時間10月16日、NYUの「Online Political Transparency Project」の一部である「Ad Observatory」プラットフォームに関わる研究者らに書簡を送り、Facebookからデータを収集する取り組みを中止するよう要請した。
Ad Observatoryに協力するボランティアは、専用に開発されたブラウザー拡張ツールを使い、Facebook上に表示される政治広告に関するデータを匿名で共有できる。これが、「政治広告の出稿者がオーディエンスをターゲティングしてメッセージを広める方法について、理解を深める」ことに役立つという。
同プロジェクトの説明によると、Ad Observatoryのサイトとデータベースは、「Facebook上の広告にお金を出しているのが誰で、規模はどれくらいか、また米国各地での主要な選挙戦で広告が展開されている傾向について、人々が目にする」のを容易にするという。さらに、それが重要な理由として、「放送や印刷媒体の広告に適用され、広告の正確さと出稿者の明示を義務付ける」連邦法から、Facebookが除外されていることを挙げている。
Facebookのプライバシーポリシー担当者がAd Observatoryの研究者に宛てた16日の書簡には、ブラウザーの機能拡張とデータ収集はFacebookの規則に違反すると書かれている。さらに研究者に対し、プロジェクトを終了して収集済みデータを削除するよう強く求めており、さもないと「さらなる強制的な措置」をとるとしている。
Facebookは独自のデータベース「広告ライブラリ」を公開している。同社によると、人々はこのデータベースにより、政治広告を検索して情報を見つけられるという。
同社の広報担当であるJoe Osborne氏はこれについて、「政治的および時事関連の広告に関する透明性を、テレビ、ラジオなど他のあらゆるデジタル広告プラットフォームよりも実現している」と述べ、「当社は何カ月も前にNYUに対し、人々のFacebook情報を収集するプロジェクトを進めることは当社の規約に反すると伝えた」と続けた。
Facebookは書簡の中で、「当社の目標は、プライバシーが保護されたツールをジャーナリストや研究者に提供することだ。それは広告ライブラリ、広告ライブラリAPI、広告ライブラリレポートを構築した理由の1つでもある。今後もこれらのツールの構築を続け、人々が当社の製品をさらに理解できるようにするとともに、当社に間違いがあった時に責任を果たせるようにする」と述べた。さらに、「当社は透明性とプライバシーの確保に全力で取り組んでいるため、問題を解決する新たな手段を見つけることも、たびたび必要となる。そしてご存知の通り、両方の目標を達成する手段について提案があれば、いつでもこの分野の助言を歓迎する」とした。
Ad Observatoryの研究者はこのブラウザー拡張機能について、個人情報を収集するものではないとしている。
Online Political Transparency Projectによると、Ad ObservatoryのデータベースはFacebookの広告ライブラリAPIや広告ライブラリレポートなど「Facebook独自のデータストリーム」の隙間を埋めるのに必要だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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