QAnonに対する懸念があまりにも高まったため、FBIは昨年、この運動を国内におけるテロの脅威と規定した。米下院もQAnonに対する非難決議案を可決したが、反対した議員もいた。
それにもかかわらず、QAnonの人気とその影響力は拡大し続けている。QAnon信者を自認する数十人が、来る選挙で立候補した。オレゴン州の共和党上院予備選に出馬したJo Rae Perkins氏は「#WWG1WGA」というハッシュタグ付きのツイートを投稿した。これは、QAnon支持者がよく使う「where we go one, we go all(一丸となって進もう)」の略語だ(ツイートは既に削除されているが、Wayback Machineにアーカイブが残っている)。同氏は米CNETに送った声明文で「私がQを支持するのは、憲法修正第1条の権利、報道の自由、言論の自由を行使する人や団体を支持するのと同義だ」とした。
ジョージア州の共和党下院予備選に出馬したMarjorie Taylor Greene氏は、陰謀論についての約30分の動画の中で、Qを「愛国者」と呼んだ。同氏について、Trump氏は「未来の共和党のスター」だとツイートした。Trump氏は、Q支持者のアカウントによるツイートをよくリツイートしている。
他の多くの過激思想と同様に、QAnonはSNSでまたたく間に広まった。YouTube、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokはそれぞれ、QAnon支持者急増に重要な役割を果たした。
SNS企業はそのことに気づき、対策に乗り出した。
Facebookは8月、社内調査の結果、ポリシーに違反していることが判明した数千のQAnon関連のグループとページを削除あるいは制限した。また、Instagramの1万件以上のQAnonアカウントを制限した。10月6日には、QAnonに関連するすべてのページ、グループ、Instagramアカウントを削除すると述べ、対策を強化した。
Twitterは7月にQAnonアカウントの取り締まりを始め、規則に違反したとしてQAnon関連の数千のアカウントを削除した。そのうちの一部は別のアカウント名で活動を再開したが。TikTokは同月、QAnon関連のハッシュタグを禁止した。これにより、TikTok上で関連動画を見つけるのが困難になった。
YouTubeは、2020年初めに発効したモデレーションポリシーにより、QAnon動画の視聴回数が70%減少したとしたが、他のSNS企業のようにアカウントを取り締まることはしていない。Redditも、QAnonの投稿やサブレディットへのリーチを減らすための対策をとった。
ビジネスに特化したSNSであるLinkedInも例外ではない。偽情報を投稿したり、自分のプロフィールにQAnonのスローガンを掲載するユーザーが出始めており、LinkedInはそれを取り締まっている。
eコマースサイトのEtsyですら、QAnonを取り締まったと、Business Insiderが7日に報じた。同社は、この運動に関わる商品はすべて削除すると述べた。
本当に知りたいのであれば、これから紹介する話はすべて、一切の根拠がないことを頭に置いて聞いてほしい。
中心的なのは、Trump氏が政府、民主党、ハリウッドに潜む悪魔の犯罪者を排除するために闘っているという説だ。
支持者たちは、民主党の主要メンバーやハリウッドのエリートが小児性愛者のための組織を運営していると信じている。Tom Hanksさん、Oprah Winfreyさん、Ellen Degeneresさんが、根拠なくその組織の一員だとされた(この批判はでっちあげなので、米CNETはこれらのスターにコメントを求めなかった)。
最も奇抜な話の1つは、故John F. Kennedy大統領の息子であるJohn F. Kennedy Jr.氏が生きているというものだ(Kennedy Jr.氏は1999年に飛行機事故で亡くなった)。Q支持者は同氏が生存していると信じているだけでなく、同氏が10月中に、Trump氏の副大統領候補として発表されると主張している。現副大統領のMike Pence氏が既に候補になっていることは気にしていないようだ。
QAnonは、地球平面説や反ワクチンなど、他のよく知られた陰謀論も展開する。信者たちは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関する偽情報拡散の最前列に立ってきた。例えば、中国政府がウイルスを開発したとか、Microsoftの共同創業者で慈善事業家のBill Gates氏が米国民にマイクロチップを埋め込むためにこのパンデミックを利用するとか、このパンデミックはTrump氏の再戦を阻止するために仕組まれたでっちあげだとかを信じている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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