logo

狂った陰謀論「QAnon」とは--悪魔崇拝に人身売買、拡散する根拠なき情報

Oscar Gonzalez (CNET News) 翻訳校正: 編集部2020年10月13日 07時30分
  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 QAnonとは、Donald Trump米大統領が悪と闘っているとする陰謀論およびそれを支持する集団を指し、匿名の電子掲示板を発祥とする。この集団がデジタルの世界から日常生活に飛び込んできた。今や、QAnonが拡散する、多岐にわたる根拠のないでっちあげ情報は、政治に影響を与えている。十数人の議員候補が、悪魔を崇拝する民主党員や子供の人身売買に関わるエリート、大統領の暗殺を画策するディープステート(影の国家)などの存在を信じていると表明する。念の為にはっきりさせておくが、これらは虚偽の主張だ。

QAnonの支持者
QAnonの支持者は増え続けている
提供:Getty Images

 こうした陰謀論は、2017年にハンドル名「Q」というオンライン投稿者がTrump氏との関係を主張したことから始まった。Qの投稿は「Qドロップ」と呼ばれ、他の陰謀論者がこれを見つけては増幅し、その不可解なメッセージを広めた。QAnonは急成長し、3年後には米連邦捜査局(FBI)がQAnonは米国に脅威をもたらすとみなすまでになった。

 QAnonを理解するためには、この陰謀論がどこから始まったのか、支持者が何を信じているのか、そして、現実の世界でどのような暴力行為を引き起こしているのかに着目する必要がある。議員はQAnonのでっちあげに悩まされた挙げ句、これを非難する超党派の決議を可決したほどだ。

 QAnonの奇妙な世界について、知っておくべきことをまとめておこう。

そもそもQAnonはどこから来たのか?

 QAnonは、オンラインの陰謀論の1つで、Trump氏が民主党のエリートやハリウッドスターなどが参加するディープステートと密かに戦っていると主張する。ディープステートのメンバーは、小児性愛者で悪魔崇拝者なのだという。食人も行っている。彼らはそう信じているのだ。

 始まりは2017年10月、電子掲示板への1件の匿名投稿だった。その内容は、2016年の大統領選でTrump氏の対立候補だった民主党のHillary Clinton氏の「国外逃亡に備え」、複数の国と身柄引き渡し協定が結ばれているというものだ(そのような国外逃亡は今でもなされていない)。この投稿をした個人あるいはグループが「Q」として知られるようになり、それがこの陰謀論の呼称の由来だ。

QAnonの最初の投稿
QAnonの最初の投稿。
提供:Archive.4plebs.org

 それ以来、QAnonは拡大し、より奇妙になっていった。Barack Obama前大統領と億万長者で慈善家のGeorge Soros氏も、他の著名人と同様にオンライン陰謀論にたびたび登場する。

 ところで、Qは米エネルギー省では、最高セキュリティレベルの機密情報取り扱い許可を意味する。エネルギー省は核兵器を管轄する省だ。Qは、Trump氏とそのチームと密接に関わっていると主張する。

Qとは何者なのか?

 Qと呼ばれていること以外、われわれは何も知らない。

 当然、複数の人が自分がQだと名乗り出た。また、ある説によると、この謎の人物はタイムトラベラーなのだそうだ(何でも信じてしまいがちなQAnon支持者でさえ、さすがにそれはまともではないと考えているようだ)。

 南アフリカ共和国ヨハネスブルグ出身の陰謀論者、Paul Furber氏が、最初のQの投稿をした人物ではないかとみられている。最初の投稿の数カ月後、Alex Jones氏が司会を務めるInfoWars TVにゲスト出演したためだ。InfoWars TVは、Trump氏支持者のお気に入りである陰謀志向の番組で、Furber氏の出演はQAnonをオンライン掲示板からより主流の聴衆に届ける契機になった。

 オンライン掲示板8kunの運営者であるJim Watkins氏も、Qではないかとみられている人物の1人だ。Qの投稿が、最初に現れてから割とすぐに、8kunに移行されたからだ。8kunの前身に当たる掲示板を構築したFredrick Brennan氏は、サービスは匿名になっていると思われているが、掲示板の認証システムでメッセージの投稿者を確認できるとしている。

 米CNETはFurber氏とWatkins氏にコメントを求めたが、両氏とも回答しなかった。いずれも陰謀論に関わっている可能性について公式の声明は出していないが、Watkins氏はQAnon Super PAC(訳注:PACはPolitical Action Committeeの略で、政治資金を集めるための組織)を立ち上げた。

QAnonはいかにしてオンラインから現実世界に躍り出たのか?

 Furber氏がInfoWarsに出演してから、Qの支持者はYouTube、Facebook、Twitter、Instagram、TikTokなどに進出し、Qの不可解なメッセージを解読しようとする試みで支持者を増やしていった。自らを「anons(匿名者)」と呼ぶQの支持者たちは、警備員に追い返されることがあるが、Trump氏の集会の常連だ。「#SaveTheChildren」というメッセージを掲げた独自の集会も開催する。このハッシュタグは、本来は子供の人身売買と闘う合法的な組織が使うものだ。

 QAnonの狂信は、犯罪行為を助長してもいる。2018年6月、1人のQ支持者が武装した車両でフーバーダムへの道路を封鎖し、逮捕された。この男は2020年2月、テロ容疑で罪を認めた。2019年3月にニューヨークでマフィアのボスを殺害した罪で起訴された男は、Q支持者だと主張し、法廷で手のひらに描いたQという文字を提示した。男の弁護士は、彼がQAnonやその他の極右思想を狂信していると説明した。男はその後、公判に耐えられない状態と認められた。Q支持者の複数の女性が、自身の子供を誘拐した罪に問われている。彼らは、人身売買から子供たちを守っていると信じている。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]