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LIFULL HOME’S、コロナ禍で不動産業界が大変革--オンライン加速、住み替えは郊外

加納恵 (編集部)2020年10月07日 09時39分
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 新型コロナ感染拡大を受け、不動産業界のオンライン化が大きく前進した。対面ありきだった業務が非対面に変わり、長く続いた業界の慣習が変わろうとしている。緊急事態宣言を経て、この半年で不動産業界はどのように変わったか。LIFULLは10月6日、LIFULL HOME'S 新戦略発表 兼 業界展望に関する説明会を開き話した。

 LIFULL HOME'S 事業本部長の伊東祐司氏は「振り返って感じるのは、オンライン化が加速した半年だったということ。対面ありきの慣習がWithコロナ生活で大きく変わった」と話す。

LIFULL HOME’S 事業本部長の伊東祐司氏
LIFULL HOME’S 事業本部長の伊東祐司氏

 LIFULLでは3~5月にかけて、不動産会社に対しアンケートを3回実施。「現時点で企業活動に影響が出ているか?」という問いに対し、「出ている」と回答した会社は70.5%、91.7%、95.4%と回を追うごとに増加し、業界的には繁忙期だったにもかかわらず大変厳しい状況になった。

 影響については「売上の減少」と回答する会社が最も多く、内見者、来店者、問い合わせが減少。「問い合わせがつながらない。人が動けないといった状況下で4~5月は売上の減少が見られた」と伊東氏は話す。

不動産会社におけるビジネスへのコロナの影響
不動産会社におけるビジネスへのコロナの影響

 その中でLIFULLに対し多かったのが「オンライン化をどうやって進めたらいいのか」「どんなシステムがいいのか」という問い合わせ。LIFULLでは一部商品を無料で提供するなどの支援策を打ち出す一方で、この機会を捉え、テレワーク活用の加速を推し進めたという。

 その範囲は、不動産会社などへの商談はもちろん、不動産会社と部屋の借り手となるお客様との打ち合わせなど多岐に渡る。LIFULLが2017年から提供するオンラインで相談、内見、重説ができる「LIFULL HOME’S LIVE」は、この時期に需要が急増。オンラインビデオでの相談、内見、利用数は、緊急事態宣言期間を含む4~6月には、前年同月比28倍まで跳ね上がり、緊急事態宣言が解除された7~9月でも根強いニーズが感じられたという。

「住まい探し」もオンライン化が加速。「LIFULL HOME’S LIVE」の
オンラインビデオでの相談・内見利用数が前年同月比の28倍に
「住まい探し」もオンライン化が加速。「LIFULL HOME’S LIVE」の オンラインビデオでの相談・内見利用数が前年同月比の28倍に

 伊東氏は「オンライン化は今後もニーズが続くと思っている。移動する時間や費用がかからず、遠方からの引っ越しには最適。物件を見ながら担当者とコミュニケーションもとれる」と今後を見据えた。

 新型コロナ感染拡大による影響は「生活者の住み替え意識」にも変化をもたらした。LIFULLが4月に1回、6月に2回実施した独自調査によると、4月の調査時には、住み替え自体を延期や中止する声が一定数あったという。しかし6月には通常の動きに戻り、住み替えのニーズが湧き出てきた。

 その中で変化があったのは都心から郊外への引っ越しのニーズ。「人気があるのは都心や駅近などアクセスしやすい場所。それが一部郊外に人気が分散してきている」(伊東氏)とのこと。「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」では、小田急小田原線の本厚木が1位になっており、東京メトロ東西線の葛西、JR東北新幹線の大宮と続く。「今までは都心の駅が1位だったが、郊外の代表格とも言える本厚木が1位にランクインしているのが大きな特徴。特に千葉と神奈川の郊外は注目度が上がっている」と分析する。

「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」
「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」
コロナをきっかけに「郊外への住み替え意向」増加
コロナをきっかけに「郊外への住み替え意向」増加

 郊外に住むメリットは、安い賃料で広い部屋に住めること。都心に1時間程度でアクセスができれば、毎日出社しないスタイルが定着してきた今、郊外を選ぶメリットは大きい。「郊外のターミナル駅周辺は商業施設も充実しており、移動せずに生活圏を確保できる」(伊東氏)点も魅力だという。

 不動産業界におけるコロナ禍での変化に対応するとともに、LIFULLでは「住宅弱者」問題にも取り組む。住宅弱者とはLGBTQ+、外国籍、シングルペアレント、高齢者などのバックグラウンドを理由に、住まいの選択肢が限られてしまう人々。「審査が通らなかったり、大家さんに敬遠されたりして、家をかりたくてもかりられない人がいる。この動きはコロナ禍でも出てきており、夫婦仲が悪くなりDVにつながる、学校やお休みになる中、子どもを見ながら働けない、コロナ禍で仕事が減少し家賃が支払えない人たちがいる」と現状を話す。

 LIFULLでは、住宅弱者が安全な住まいを得るための支援プロジェクト「LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL」を立ち上げ、「住宅弱者がいない社会へ」推進するためのサービスを開始。さまざまなバックグラウンドを持つ人と相談に応じてくれる不動産会社をつなぐサービス「FRIENDLY DOOR」などを運営している。

新年度戦略は一人ひとりに寄り添った住み替え支援

 不動産業界として大きな変化を迎えた2020年、LIFULL HOME’Sが2021年度の戦略に据えるのは「テクノロジーを活用し、一人ひとりに寄り添い、安心・安全な住替えを支援する」。情報の拡充として、タグ検索機能に、自治体がカップルに対し、2人の関係性が婚姻と同等であると承認し、独自の証明書を発行する「#パートナーシップ制度のある街」を追加したほか、「地図から探す」機能に洪水ハザードマップ情報を記載、物件周辺の徒歩圏内環境を評価したスコア「Walkability Index」を掲載するなど、新機能を取り入れる。さらによく行く駅・年代から同じ特徴の人が多く住む居住エリアを探せる新たな機能をリリースしたほか、バーチャルの街でホームズくんが飛び回って空室を発見し、家の中を3Dで見られる「空飛ぶホームズくん」プロトタイプも公開。新たな機能を実装し、情報の拡充に努める。

新機能を続々ローンチし「情報拡充」
新機能を続々ローンチし「情報拡充」

 デジタルトランスフォーメーション(DX)も進める。「不動産業界のDXは、物件検索から内見、契約といった流れがすべてデータでつながり、オンラインで体験できること。これによって、ユーザーとクライアントの双方の利便性が上がる。LIFULLがでは、オンラインで商談ができるサービスを提供しており、コロナ禍でこのニーズは際立った。『LIFULL HOME’S 住まいの窓口』を設けるなど、賃貸における家探しのオンライン化は進んできている。売買については、現在実証実験中だが、オンラインサービスのプラットフォームを用意していきたい」とし、オンライン取引の対応可能範囲の拡大へ踏み出す。

 伊東氏は「家探しが終わったあともインフラの手続きや引っ越しなど、ワンクリックでシームレスな体験を用意し、住まい探しに貢献していきたい」と、安心、安全な住み替え支援を推進する。

不動産業界のデジタルトランスフォーメーションを加速
不動産業界のデジタルトランスフォーメーションを加速
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