LIFULLは7月21日、場所に縛られない働き方の実現を目的にプラットフォーム構想「LivingAnywhere WORK」を発表した。日本各地に宿泊もできるワーキングスペースを作り、働く場所の選択肢を増やす。
LIFULLでは、2019年に地方型シェアサテライトオフィスと宿泊施設を持つ共同運営型コミュニティ「LivingAnywhere Commons(LAC)」の運営開始を発表。今回、企業とコンソーシアムを組み、自治体と協力して一気に拠点を増やしたいという思いから、LivingAnywhere WORKを開始した。
LIFULL 代表取締役社長の井上高志氏は「テクノロジーの進化によりグリッドにつながっていなくても生活することが可能になってきた。好きな時に好きな場所で働き、暮らせることは、地方創生に役立ち、分散都市を実現するなど、多くの効用がある」と職場や自宅に固執しない新たな暮らし方を説明する。
今回、企業33社、自治体13団体がこの動きに賛同しており、現在7つあるLACの拠点を増やしていくことが目的。拠点は、廃校など遊休施設等をリノベーションして活用していくことを基本としている。利用料は月額2万5000円で、全国の拠点が使い放題。定額住み放題の多拠点生活プラットフォーム「ADDress」と似たコンセプトだが、井上氏は「ADDressはノマドのように転々と移住していくイメージだが、LACはコミュニティを重視している。スタートアップを支援したり、新しく共同事業を始めたり、実証実験を進めたり、共創の場として活用してもらいたい」と違いを話した。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、在宅ワークに踏み切った企業も多く、LIFULLでも「都心のオフィスを約4分の1縮小して、郊外に移すことも考えている。現在は在宅ワークが中心」(井上氏)とのこと。「今までは自宅とオフィスを往復することが普通だったが、サテライトオフィスを郊外に作り、そこを複数社でシェアすれば、従業員同士のコミュニティが生まれ、ウェルビーイングも上がる。本社が災害を受けた場合でもリスクが分散され、地方貢献にもつながる」(井上氏)とメリットを強調する。
今後は、2020年中に10拠点まで拡大するほか、2023年までに100拠点まで増やす計画。各拠点には、LIFULLが提供する「LIFULL HOME’S空き家バンク」なども活用していく方針。すでに拠点で生活する人の中には、この場所を家やオフィスを持ちたいと考える人も出ており、セカンドハウスやサードプレイスとして空き家を提案できる可能性もあるとのこと。井上氏は「このムーブメントを日本全国に広げ、働く人、住む人の幸福度を上げる社会の一助になればと思っている」とした。
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