不動産投資「体験」で将来の顧客を開拓--Relicが語る不動産投資型クラウドファンディングの価値 - (page 2)

不動産投資「体験」の提供で、将来的な顧客を開拓

 不動産投資型クラウドファンディングとは、「インターネット上で一般投資家から資金を募り、集まった資金を利用して不動産の取得・運営を行い、その利益の一部を配当として還元する仕組みである」と、加藤氏は説明した。最大の特徴は「インターネットで完結できる」点だという。

キャプション

 加藤氏は、「クラウドファンディングを活用した投資市場は、2020年には約4600億円規模になると想定される。このうち、不動産投資型クラウドファンディングにも注目が集まってきており、参入プレイヤーは確認できるだけで21社になった(8月現在)」と概況を説明した。

キャプション

 各社が不動産投資型クラウドファンディング事業に参入する理由は大きく3つある、と加藤氏は話す。「コロナ禍による所得の減少から、資産運用に対する興味関心が高まっているという市場の追い風がある。また、働き方が多様化するなかで、時間や場所を選ばずに投資を行えることは投資家にとって大きなメリットである。そして、不動産会社としても、現物不動産取引のフックとなる商材として活用できる」(加藤氏)

キャプション
キャプション
キャプション

 加藤氏は、「現物不動産取引には、一般的には最低でも数百万から数千万円の資産と、投資に関する一定の知識や経験がなければ気軽には手が出しにくく、心理的ハードルが比較的高い投資商材だ」と前置きした上で、そのハードルをクリアするためには「不動産投資の体験」が重要であると強調した。

 「少額であっても、一度でも不動産投資を経験すれば、不動産そのものへの興味関心度合いは大きく異なってくる。不動産投資型クラウドファンディング事業に参入する最大の魅力は、単体での収益化や資金調達だけではなく、将来的なお客様を早期に発見して、投資リテラシーの育成を行って、現物不動産投資へステップアップしていただくきっかけになることである」(加藤氏)

キャプション

不動産投資型クラウドファンディング活用の成功事例

 次に加藤氏は、実際に不動産投資型クラウドファンディング事業「PARTNERS Funding」を立ち上げた株式会社PARTNERSで執行役員 契約管理本部 部長を務める伊藤將道氏を招き、対談方式で不動産投資型クラウドファンディングを検討する事業者の疑問や不安に答えるコンテンツを提供した。PARTNERS Fundingは、平均応募金額3500万円以上、平均応募率325%、最大応募率808%と、大きな成功を収めているという。

キャプション

 伊藤氏は自己紹介で「不動産取引履行件数は3500件以上、マネージャーとしても6000件以上の取引をしてきた。こうした経験を背景として新規事業に取り組んだ」と話したのち、同社の事業をこのように説明した。

 「PARTNERSは2012年に設立し、9期連続で増収増益、売上高は前年比170%近い増の46億円を達成した。もともとは不動産仲介事業を行っていたが、現在は資産運用の総合アドバイジングカンパニーとして不動産売買、賃貸管理、不動産特定共同事業法、いわゆるクラウドファンディング、そして保険事業を行っている。お客様の資産をつくる、整理する、守る、運用する、全ての面でシナジーを発揮できるよう事業を展開している」(伊藤氏)

 FAQでは、加藤氏があらかじめ用意しておいた6つの質問に伊藤氏が回答する形で、これから不動産投資型クラウドファンディング事業に参入することを検討する際、多くの事業者が感じる疑問や不安を深掘りした。

——クラウドファンディング事業に参入したきっかけを教えてください。

伊藤氏:不動産投資は、居住用の融資とは異なり審査が厳しく、気軽に始められる資産運用だとは言い難いです。このため、弊社の不動産投資セミナーに参加いただいたお客様のうち、約4割の方にお断りをしなければならないこともあり、サービスを提供する企業としてどうあるべきかという疑問を抱えていました。心理的ハードルの高い不動産投資を、1口1万円から始めていただき、まずは体験していただくことが一番大事だと考えました。

——不動産というと現物・対面取引の印象が強いですが、オンライン化の取組について既存のお客様の反応はいかがですか?

伊藤氏:これまでも、遠方にお住まいのお客様や、時間に制約のあるお客様もいらっしゃいましたので、既存のお客様からはとても良い反応をいただいています。これからは、オンラインを取り入れつつも、従来の対面取引の良さも掛け合わせて、より良いサービスを提供したいと考えています。オンライン化は既存の取引を否定するものではなく、相乗効果を生むものとして捉えています。

——不動産投資型クラウドファンディング事業は既存事業にもプラスの影響を与えましたか?

伊藤氏:プラスの影響はとてもよく出てきています。一般的に不動産取引は、認知が広がってきていますが、数千万円のローンを組むのは心理的ハードルが高いという状況です。まずは小口で不動産投資の勉強をしていただき、そこをサービスの基軸として企業理解を深め、現物資産への投資へとステップアップしていただく。そして、購入いただいた物件を我々はしっかりと管理して、最終的には保険事業でお客様の資産、ひいては人生を守る。このように、不動産投資型クラウドファンディングを起点に、サービスのシナジーを発揮できることを実感しています。

——先行して不動産投資型クラウドファンディングを行っている事業者がありますが、後発での参入に不安はありませんでしたか?

伊藤氏:我々は、もともと不動産仲介業を行ってきました。物件を直接仕入れることができるという強みを生かして参入しよう、という明確なビジョンがありました。不動産投資型クラウドファンディング事業は、お客様に投資を学んでいただく学校であると位置付けました。実際に1口1万円という気軽さから、これまであまり接点のなかった若い方とのつながりなども増えてきています。我々の“いい生き方の人を日本中に増やしていく”というビジョンを遂行すれば成功すると信じていたので、何の不安もありませんでした。

——他にもシステムを提供している企業がありますが、なぜRelicを選んだのですか?これは私も初めて質問させていただくのでドキドキですが…。

伊藤氏:理由は3つあります。新規事業は、大きな資本を投下したうえで失敗してしまうリスクもあるため、経営判断としては非常に厳しいのですが、はじめやすい費用感だったことです。また、我々は不動産の専門家でありITについて強いわけではないため、(Relicが提供する)保守メンテナンスサービスも必須条件でした。最後に、最大の決め手となったのは、パッケージを売るだけではなく、一緒に新規事業を創っていこうという(Relicの)姿勢です。マーケティングや集客のアドバイスも、非常に助かっています。

加藤氏:ありがとうございます。我々は、システムと事業を創るプロフェッショナルですが、不動産の領域に関しては足元にも及びません。お互いの良い部分を活かしながら、新規事業に取り組めたと思います。

——不動産投資型クラウドファンディング事業にこれから参入を検討されている同業の方にアドバイスなどあればお願いします。

伊藤氏:これも3つあります。1つ目はビジョンをしっかり持つこと。我々は自社が展開するさまざまなサービスの起点として、不動産投資型クラウドファンディングを捉えていました。明確なビジョンがなく“なんとなく”や“流行っているから”では難しいでしょう。2つ目は学びの姿勢です。自社にはIT部門はなかったのでウェブにも強くはありませんでしたが、全く分からないからといってシステム開発を外部に丸投げすると失敗すると思います。3つ目は信頼できるパートナー選びです。投資したあと、どのように運用していくかをともに描けることが大事なのは、不動産と同じではないでしょうか。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]