Adobeは米国時間9月23日、PDF閲覧ソフト「Acrobat Reader」に人工知能(AI)技術を活用した「Liquid Mode」を導入すると発表した。最高技術責任者(CTO)のAbhay Parasnis氏によると、これによりPDFファイルを再フォーマットする新たな表示モードが加わり、スマートフォンなどの小さめの画面で読みやすくなるという。
Liquid Modeは、学校や職場がオンライン環境に移行し、企業で電子商取引が採用され、重要書類がUSBドライブやクラウドストレージサービスに保存される状況のもと、PDFが人々の生活に欠かせない役割を果たす中で登場した新機能だ。
この機能は切実なニーズに応えるものだと、Adobeは強調している。現状では、PDFのスマートフォンへの対応はうまくいっていない。PDFファイルはは小型デバイスの画面には収まらず、ユーザーはPDF文書の内容を読むだけでも四苦八苦している。
これに対し、Liquid ModeはPDFというファイル形式を従来のレターサイズのページから解放するものだ。さらに、他のドキュメントの情報を参考にして、小さなスマートフォンの画面でも見やすいテキスト、グラフィックス、表のレイアウトを予測する。今後も、新規文書を開くとデフォルトで通常のPDFビューが表示されるが、ボタンをタップすると、Liquidモードに切り替わる。
Liquid Modeは9月23日からまずAcrobat Readerの「iOS」版と「Android」版のアプリに追加され、今後デスクトップ版とブラウザー版にも追加されるという。
AdobeがPDFを開発したのは1992年のことだ。同社は国際標準化機構(ISO)を通じてこのフォーマットを標準化したため、独占所有権は持っていない。PDFは広く普及し、これまでに兆単位のPDFファイルが作成されてきた。2018年の1年間だけでも、Adobeのツールを使って開かれたPDFの数は2500億部に達したと、同社は明かしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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