新型コロナウイルスの影響でオフィスでの働き方が見直されている昨今、弊社でもオフィスのリニューアルが行われ、編集部を含む一部部署において、固定座席からフリーアドレスになった。
弊社においては緊急事態宣言の解除以降でも、在宅でのテレワークが推奨されている状態にある。オフィスで勤務するスタッフも少しずつ増えているが、こと筆者に関しては週1~2日程度にとどまっている。
オフィスのリニューアルは、2019年から計画されていたもので、新型コロナとは全く関係なく進められていたもの。そしてそのときから、一部部署でのフリーアドレス化の計画盛り込まれていた。目的としては、コミュニケーションの促進と、固定席のスペースをこれ以上増やすのが難しいことから、今後増員する場合に備えるということ……という説明の記憶がある。
実際、フリーアドレスのメリットとしてよく言われていることに、コミュニケーションの活性化や、省スペース化も挙げられる。執務スペースの総デスク数を減らすことにより、浮いた分をカフェスペースなどの共用空間に転換したり、スペースそのものを減少させ、コストを削減するというメリットがある。
職種によって固定席とフリーアドレスに分けることとなったのだが、編集部は取材や打ち合わせでの外出も少なくないということから、フリーアドレスの対象になった。編集部でもスタッフによってフリーアドレスに対する反応はさまざまあり、賛否があった。こと筆者に関しては、反対していた側のひとりであった。
理由は多々あり、これまで固定席でしか働いたことがないという前提もあるのだが、当時感じていたのは、以前よりも作業がやりにくくなるのではないか、という不安にある。
パーソナルなスペースが一定確保されているなかでの作業のしやすさを感じていることや、ちょっとした書類や荷物なども置きやすいということ、フリーアドレスで席に座る人数が多かったときに対応できるかなどもあるが、大きな要因として引っかかっていたのは、外部モニターの有無や用意される台数とともに、作業で使う周辺機器のセッティングや出し入れの手間だ。
ノートPCひとつあれば作業自体できるものの、作業しやすい環境とは別のもの。当時の筆者の場合、ノートPCの電源に、有線LANと外部モニターを接続するハブ、キーボードとマウス、そしてマウスパッドや冷却ファンなどなど……。固定席であれば、そのまま置いておいて接続するだけで済むが、フリーアドレスとなると外出のたびに出し入れが必要となる。ここがネックになるということは、話し合いのなかでも意見として出したところだった。
ほかにも思うところも多々あるなかで抵抗感もあったが、新型コロナウィルスの影響による緊急事態宣言を機に、自宅でも一定の環境と整えたこともあってか、会社に丸3カ月出社せず、それ以降も散発的な出社にとどまっている生活となると、さすがに心境にも変化があり、そこまで反対することもないか……と思うようになった。
そうこうしているうちにリニューアルが実施。初めて見たときには、基本的に机と床まわりを刷新する形だったが、ずいぶん明るい雰囲気になったように思った。
周辺機器のセッティングの手間については考慮されたこともあって、用意されたモニターには、USB-C接続で給電かつ有線LANへの接続も可能なモデルとなっていた。特に給電が可能というのは、自宅で電源ケーブルを外して持っていく、会社から持って帰るという手間を省くことになり、とても大きなメリットと感じている。
現状出社自体が少なく、取材もオンラインがほとんどで出かけ回ることもないことから、片付けなどが手間と感じることも少ない。しいて挙げるのであれば、座る椅子の高さや肘掛けを毎回調節しなければいけないことや、モニターの拡張設定も毎回することだろうか。
また、出社しているスタッフ自体が少ないため、モニターが足りなくなるようなことはなく、広いスペースで作業ができている。一方で、コミュニケーションの活性化は、そもそもの人数がいないので測りかねるところもあるが、それでも自然と会話が発生している状況も見受けられるので、いい方向に向かっているのではと考えられる。
まだまだ平時にならないと効果など測りかねるところはあるものの、筆者が感じた話で言うのならば、これまでは積みあがったものが多い状態の机で、そのほうが落ち着くとも思っていたぐらいだったため、整然としていて物がほとんどない状態の机で作業をするのは、今のところかえって落ち着かないところもある。ただ、これも慣れていくものと思うと、環境が働き方や意識を変えることもあるのではと思った次第だ。
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