Facebookに勤務していたあるエンジニアが米国時間9月8日、同社を退職することを明らかにし、十分なヘイトスピーチ対策を講じようとしない同社の姿勢を公然と批判した。
「私が会社を辞めることにしたのは、米国で、そして全世界で憎悪から利益を得ている組織に貢献することにこれ以上耐えられないからだ」と、エンジニアのAshok Chandwaney氏はFacebookに投稿し、一般に向けて公開した。同氏の辞職は、Facebookが人権団体や広告主からヘイトスピーチ対策をより積極的に講じるようプレッシャーをかけられているだけでなく、自社の従業員からも反発を受けていることを示している。
Chandwaney氏は投稿の中で、Facebookがこの問題を真摯に受け止めているのか疑問を抱かせるような、いくつかのコンテンツモデレーション上の判断に言及している。
Facebookは5月、Donald Trump米大統領が「when the looting starts, the shooting starts」(略奪が始まる時、発砲が始まる)と記した投稿を、暴力の誘発に関する同社のルールに抵触していないと判断して放置した。一方Twitterは、暴力の賛美を禁じる同社のルールに違反しているとして、Trump氏による同じ内容の投稿に警告ラベルを付けた。
Facebook社内では、Trump氏の投稿を放置するという同社の決断を受け、一部の従業員がバーチャルストライキという異例の抗議活動を行ったほか、同社を離れる社員も出た。さらにFacebookは、ウィスコンシン州で行われた人種平等を求める抗議活動で銃撃事件が発生して死者が出る前に、Kenosha Guard(ケノーシャ自警団)という武装集団が作成した暴力行為を呼びかけるイベントページを削除しなかった(主催者側が削除した)。Facebookは銃撃事件が起きた後にこのグループ自体のページをルール違反とみなして削除し、対応が遅れた理由を「運用上のミス」だと説明していた。
Chandwaney氏は、「これまでに取られた対策は簡単なものであり、重要な変化をもたらすというより、自社をよく見せるものであることを理由に有効だと判断された可能性がある」と綴っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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