Netflixは9月7日、日本でのサービス開始5周年を記念してオンライン会見を実施した。日本での有料会員数が500万人以上に達したことや、2022年までに、日本から15作品以上のオリジナル作品が配信予定であることなどを明らかにした。
Netflix 最高執行責任者兼最高プロダクト責任者のグレッグ・ピーターズ氏は「2015年当時、Netflixは米国とカナダを除く約60カ国、欧州と南米のみでローンチしており、日本でのサービス開始は大きな賭けだった。日本は想像以上にユニークな国で、この5年間はクリエーターや配給会社とのパートナーシップ、支払いの仕組み、作品の翻訳が正しいかなど、日本で最適なサービスを提供するため多くの課題に取り組んできた。私たちの使命は、日本のファンを楽しませること。ミッションを実現するためには、日本のクリエーターが作りたい質の高い作品を手がけ、世に出すことで、会員の皆さまに喜んでもらえるものと信じている」とコメントした。
現在Netflixでは、全世界で50作品以上の日本発オリジナル作品を配信している。Netflix コンテンツ・アクイジション部門ディレクターの坂本和隆氏は「アジア圏をはじめ、海外のファンに作品を届けられることがNetflixの特長。『泣きたい私猫をかぶる』は世界30カ国以上で、最も観られた映画トップ10入り、『バキ』も世界約50ヵ国で最も観られた作品総合トップ10入りを果たしている。アジア各国で大変強い反響をいただいた『全裸監督』は、2021年のシーズン2配信に向けて取り組んでいる」と日本発の人気作品を紹介した。
オンライン会見には、現在制作中のドラマ「今際の国のアリス」で監督を務める佐藤信介氏が登場。連続ドラマながら「映画級の規模感」で作り上げている現場の様子について触れた。
今際の国のアリスは、山﨑賢人さんと土屋太鳳さんらが出演するSFファンタジー作品。5カ月という長期間にわたり撮影したという。「連続ドラマとして『ラッキーセブン』を手掛けたり、映画『GANTZ』で5カ月間かかって作品を作ったりした経験があったので、今回も乗り切れるという思いはあった。ほかの監督と一緒に作るという選択肢もあったが、『これはドラマだけれど映画だと思ってほしい』『トーンを統一してほしい』というプロデューサーの方からの要望があり、一人で監督することに決めた」と監督を務めた経緯を話した。
作品は4K撮影で、音声も5.1chと、映画館と同等かそれ以上の質で作っているとのこと。「Netflixの現場におけるクオリティチェックはすばらしい。ちょっとした音のずれや撮影時のフォーカスのずれはチェックが入って撮り直した。もちろん作品として求める部分があれば、ズレは認められ、クリエイティブに幅をもたせながら間違いをつぶす。そのチェック体制にはカルチャーショックを受けた」(佐藤氏)と、ほかの現場との違いを話す。
またNetflixについて期待することについて尋ねられると「Netflixというと、さまざまなデータに基づいて企画選びをするという記事を読んでことがあったが、実際に作ってみて、そういう話し合いは一度もなかった。重要視されたのはどうしたら面白いものが作れるか、次を見たい気持ちになる作品になるのかというエンターテインメントの真髄を話し合っていく作業だった」と制作工程を明かした。
また、印象的なエピソードとして「CG制作工程において、この予算だからこのCGということは考えないでほしい。まずこうしたいという制約を度外視した提案をしてほしい」と言われたことを明かし、「クリエイティブとして正しいことが出発点になっている。これは初めての経験だった」とした。
坂本氏は2019年に300万人だった会員数が500万人まで伸びたことについて言及。「視聴されているコンテンツの多様化が急速に進んだことが大きい。韓国ドラマ『愛の不時着』など、たくさんの人に見られている。いろいろな国の作品が加速し、選択肢が増えている。これが大きな要因だと思っている」(坂本氏)とコメント。
コロナ禍での制作については「緊急事態宣言時は制作を止めたが、現在は万全な対策をして制作を進めている。現場には衛生班を新たに配置して、こまめな除菌や換気をしながら制作している」(坂本氏)と、制作現場の様子についても話した。
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