2020年のテクノロジーイベントで明らかになったことは、Appleやサムスンといった超大手企業にとって、製品発表イベントをすべてバーチャルで行うのは難しくないということだ。とはいえ、PCやスマートフォンの画面に置き換えることができない要素が1つある。それはデモルームだ。そこでサムスンは、この問題を改善しうる解決策を考え出した。
サムスンは9月2日、ベルリンで開催されるエレクトロニクス見本市「IFA」に合わせて「Life Unstoppable」と題したバーチャルイベントを開催した。このイベントは、この1カ月間に2度開催された「Unpacked」イベントのような、通常のメディア向け新製品発表イベントではない。サムスンはEpic Gamesのゲームエンジン「Unreal Engine」を使い、バーチャルな3Dツアーを体験できる環境、すなわち内部を自由に動き回れるデジタルデモルームを、メディア関係者やサムスンのパートナー向けに作成したのだ。
Life Unstoppableの参加者は、屋外テラス用の防水テレビから折りたたみ式スマートフォン「Galaxy Z Fold2」まで、20以上のサムスン製デバイスが置かれたデジタルの家を見て回ることができる。45分間のガイドツアーが中心となるが、参加者はテレビの裏のポートを見たり、家電をチェックするためにキッチンに戻ったりすることも可能だ。
さらに拡張現実(AR)の要素もあり、テレビなどの新製品が自宅でどのように見えるかを確認できる。
「新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、このような試みを行っていただろうか。それは何とも言えない」と、サムスンで欧州担当マーケティング責任者を務めるBenjamin Braun氏はインタビューで語った。「これは、前例のない、新しい製品を紹介する方法だ」
感染者が世界全体で2500万人以上に達した新型コロナウイルスは、製品発表イベントの見直しを企業に迫るものとなった。モバイル業界団体のGSM Association(GSMA)は、2月末に開催予定だった世界最大のモバイルカンファレンス「Mobile World Congress」を、ジャーナリストらがバルセロナにやって来る1週間前になって中止した。Apple、サムスン、華為技術(ファーウェイ)、OnePlusも、この数カ月間は新製品を発売するにあたり、通常のイベントではなくデジタルイベントを開催したり、プレスリリースで製品を発表したりしている。
ベルリンで9月3~5日に開催されるIFAは、2020年の大規模なテクノロジーイベントとしては唯一、リアルイベントとして開催されることになった。ただし、各セクションの参加人数は1日1000人までに制限される。計20万人が参加した2019年のIFAとは大きな違いだ。サムスンはIFAに参加しないものの、短縮開催となったこの見本市とタイミングを合わせて、Life Unstoppableをはじめとする複数のイベントを開催する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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