近視の進行抑制、治療を目指す「クボタメガネ」が概念実証試験に成功

 窪田製薬ホールディングスは8月25日、100%子会社のクボタビジョン・インクのウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」の概念実証(POC)試験の結果、卓上デバイスと同様に眼軸長の短縮を確認し、試験が成功したと発表した。

 なお、今回行われ同臨床試験は、あくまでもウェアラブルデバイスを用いた概念実証(POC)試験であり、医療機器としての製造販売認証申請のための臨床試験ではない。

 クボタメガネは、網膜に人工的な光刺激を与えて近視の進行抑制、治療を目指す同社のアクティブスティミュレーション技術「クボタメガネテクノロジー」を活用。

 同臨床試験では、複数の眼科製薬・医療機器企業の臨床試験・製品開発に参加している実績を持つ眼科専門の研究所「Manhattan Vision Associates/Institute for Vision Research」(MVA)にて、18〜35歳までの25名の近視傾向のある被験者が、クボタメガネテクノロジーを用いたウェアラブルデバイスを数時間装着。眼軸長(角膜から網膜までの長さ)に与える効果を検証した。

 同社によると近視は、2050年に世界の約半数の人が陥ると予測されている疾患だとしており、特に日本を含む、中国、香港、台湾、韓国、シンガポールといった東アジアの国々で近視が急激に増加しているという。ソウルでは、19歳の男性の96.5%が近視というデータも示されている。

 また、2019年3月に文部科学省が発表した学校保健統計調査によると、小学生〜高校生の裸眼視力における1.0以上の割合が過去最低と発表されている。

 近視の進行により、緑内障視野障害、白内障、網膜剥離、黄斑変性などの疾患を合併するリスクが高まることも知られている。強度近視患者の増加は大きな社会課題のひとつとされているが、未だ本邦で薬事承認を受けた治療法はない。

 近視は、屈折性近視、軸性近視、偽近視、核性近視などに区分されるが、その多くは軸性近視と診断され、眼軸が伸展することによりおこるとされている。眼軸長が伸びると、眼球の中で焦点が網膜より手前に位置づけられるために、遠くが見えにくくなる。

 今後は、2020年内にプロトタイプを完成させ、2021年内の商業化を目標として開発を進めるという。また、同件による同社の2020年12月期連結業績予想への影響はないとしている。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]