電力小売スタートアップ「Looop」が4位に浮上--2020年7月の資金調達・時価総額ランキング

 フォースタートアップスは8月19日、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」において、2020年1月から7月までを対象とした「国内スタートアップ資金調達額ランキング」を発表した。

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 それによると、タクシー配車アプリ「JapanTaxi」や「MOV」などを手掛けるMobility Technologiesが総額225億7500万円の資金調達を実施。2020年の累計資金調達金額が266億2500万円となり、ランキングTOPに躍り出た。また、新たにアンドパッド、ispace、モンスター・ラボの3社がランクイン。そのほか、前月のランキングでは13位だったLooopが30億円を調達し、4位に浮上している。

 モビリティDXカンパニーのMobility Technologiesは、NTTドコモ、東京センチュリー、電通グループおよび、電通と資本業務提携し、総額225億7500万円の資金を調達している。これにより、設立からの累計資金調達金額は395億2500万円となった。

 2019年通期での累計資金調達金額でも、200億円を突破した企業はEPARK1社であることから、今回の資金調達の規模が突出していることがわかる。今後Mobility Technologiesは、スマートシティにおけるモビリティサービスやデータサービスの実現、さらには自動運転サービスの実現に向けて取り組んでいく見込み。

 再生可能エネルギーを中心とした電力小売事業を展開するスタートアップであるLooopは、4月30日に三菱UFJ銀行を引受先とした30億円のグリーンボンド債による資金調達をしたことが判明。加えて、6月30日には28億3000万円の第三者割当増資を行っており、引受先はENEOS、NECキャピタルソリューション、双日、日本グリーン電力開発、ほか1社の合計6社となっている。

 施工管理・業務管理システムを手掛けるアンドパッドは、既存投資家であるグロービス・キャピタル・パートナーズ、DNX Ventures、セールスフォース・ドットコム、BEENEXTの4社を引受先とした40億円の資金調達を実施し、10位にランクイン。今回調達した資金は、人材採用・建設業のデジタル化推進の強化のために充当していく方針。

 14位に新規ランクインしたispaceは、民間による月面資源開発に取り組む日本発の宇宙スタートアップ。登記簿情報より29億9999万円の資金調達が判明している。同社は今回を含め、創業以来およそ135億7000万円の資金を集めており、2018年までにシリーズA国内過去最高額となる103億5000万円の資金調達を実施。また、8月の国内スタートアップ想定時価総額ランキングでは18位にランクインしており、想定時価総額は438億円と、宇宙領域ではアストロスケールホールディングスに次ぐ時価総額となっている。

 20位には、デジタルコンサルティング事業やプロダクト事業を展開するモンスター・ラボがランクイン。同社は、全世界に1200人を超えるメンバーを有するグローバル企業であり、世界15カ国・26都市に拠点を構え、各国の市場に精通している。前回ラウンド調達以降、7月末までに7つのファンドおよび、事業会社を引受先とした約42億円の資金調達の実施を発表。登記簿情報によると、2020年に入って調達した金額はおよそ26億円であるという。

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 カテゴリー別では、金融が5社と最も多く、環境・エネルギーが3社、医療・介護とその他の2社がこれに続く。環境・エネルギー領域では、電力コストの経営課題を解決するVPP Japan、次世代リチウムイオン電池のAPB、前述したLooopが名を連ねた。この3社は資金調達ランキング5位までにランクインしており、いずれも2020年に入って50億円以上の資金を集めている。金融の5社を除いて、突出して社数の多いカテゴリーがないことから、さまざまな分野の企業が大型調達していることがわかる。

時価総額ランキングに「ispace」「Looop」がランクイン

 フォースタートアップスでは、8月3日時点での「国内スタートアップ想定時価総額ランキング」も発表している。同ランキングでは、登記簿に記載された発行済みの顕在株・潜在株を元に算出。子会社やINCJ主導で設立した企業は除外されている。なお、米ドルでの調達の場合は8月3日時点での為替ルートにて算出している。

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 8月の想定時価総額ランキングでは、ispaceとLooopがそれぞれ18位と19位に新規ランクインした。また、上位20社の想定時価総額が全て400億円超えを達成している。

 ispaceは、登記簿情報から、7月に新たに29.9億円の調達をしていたことが判明している。なお、7月末に民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」Mission1ランダー(月着陸船)の最終デザインの完成を発表しており、2021年中に組み立てに着手し、2022年に打ち上げを予定している。

 Looopは6月に、ENEOS、NECキャピタルソリューション、双日、日本グリーン電力開発など全6社による28.3億円の資金調達を実施し、ENEOSとは資本業務提携も締結している。この調達と協業を通して発電やエネルギーマネジメントに関する同社の専門性に、各企業の新たな知見を集結した新サービスの開発や、全国規模の営業を強化していく方針。

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 カテゴリー別にみると、環境・エネルギーと金融領域が最も多く、4社ずつランクインしており、自動車領域が3社となった。前月からの変動をみると、自動車領域が1社減少し、航空・宇宙領域は1社増加。前月ランクインしていた、自動運転システム「RoboCar」を開発するZMPと、大型リチウムイオン電池および、蓄電システムを開発するエリーパワーがランキング外となっている。

 これらに代わり、電力小売サービス「Looopでんき」などを運営するLooopと、航空・宇宙領域のispaceが新たにランクイン。その結果として、「航空・宇宙」が1社増加、「環境・エネルギー」は変動なし、「自動車」は1社減少という結果になっている。

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