スマートフォンの未来がどうなるのかを知りたいとき、水晶玉をのぞいてみる必要はない。ガラスに注目するだけでいいのだ。Corningの新製品「Gorilla Glass Victus」は、落下や引っかき傷に対する保護性能の向上をうたっている。そこから、次世代の「iPhone」や「Galaxy」の端末がどんな特徴を備えるか、その手がかりをいくつか得られる。
2018年に「Gorilla Glass 6」を発表して以来、Corningはモバイルデバイス向けに専用設計されたガラスの耐久性向上に努めてきた。ニューヨークに本拠を置く同社は、サムスンやAppleといった企業にガラスを供給しており、iPhoneでは、Corning製ガラスをカスタマイズしたものが使われている。Gorilla Glass Victusでは、これまでのように落下耐性のみに注力するのではなく、引っかき傷に対する耐性も最優先されている。
Corningの最新の試みであるGorilla Glass Victusは、最大2mの高さからの落下に耐える。前モデルのGorilla Glass 6の落下耐性は最大1.6mだった。また、引っかき傷への耐性も2倍になっている。
「破損したことで、スマートフォンの寿命が決まってしまうのは望ましくない」。CorningでGorilla Glass事業の責任者を務めるJohn Bayne氏は、そう述べている。
ガラスが破損するには、2つの要因がそろう必要があるとBayne氏は解説する。引っかき傷と落下だ。おそらくはそれが理由で、滑らかな面の上に落下した場合ならスマートフォンは破損しないこともある。だが、ポケットやバッグに入れていたために引っかき傷などの傷がついたり、落下した先が粗い面だったりすると、破損の確率は上がる。そこで同社は、アスファルト道路の表面によく似ていることから、落下テストに紙やすりを使っている。アスファルト面は、落下時の衝撃で引っかき傷がつくことがあるのだ。
ガラスの強度が上がるほど、サムスンやAppleなどのメーカーは、耐久性を犠牲にすることなくガラスを薄くすることができる。ガラスの厚さをほんの数十ミクロンそぎ落とすだけで、一般的にスマートフォンを薄く軽くできることになる。
「兼ね合いの問題だ。ガラス性能の向上をすべて耐久性のために利用するのか、それとも向上によって得られたメリットを設計の部分にも回すのか」(Bayne氏)
厚さだけではなく、形状もスマートフォンの耐久性に影響することがある。したがって、メーカーがすべて同じモデルのGorilla Glass Victusを使ったとしても、ガラスを曲面にするか平面のままにするかで、スマートフォンの耐久性は違ってくる。
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