日本電気(NEC)は7月20日、東京都済生会中央病院や済生会熊本病院とともに、次世代のオンライン診療実現に向け共創を開始すると発表した。なお、実証実験を7月から順次開始する。
東京都済生会中央病院は、人口の多い都市部の中核病院として、感染拡大防止に向け、既存の対面を基調とした外来診療からオンライン診療に置き換える際、患者の手続きや病院職員の業務をスムーズに移行できることが必要だという。
そこで、主に外来診療での再診患者のうち、退院後の経過観察や、定期モニタリングが必要な患者を対象に、ビデオ通話システムによる診察と病院情報システム「MegaOak」シリーズの既設電子カルテを連動。通常の診療情報とオンライン診療情報を一元管理するほか、診療行為・会計・処方せん発行までをオンライン上で一貫して提供するための運用方法を検証する。
なお、実証結果を踏まえ、音声による電子カルテへの自動入力支援システムや、生体認証技術を活用した本人確認など、先進のICTを取り入れたオンライン診療も検討するという。
済生会熊本病院では、地域中核病院として、これまでも重症患者の入院受け入れや、治療後の症状緩和に伴う転院や在宅治療のフォローなど、地域の医療機関と連携を取りながら治療を実施してきた。しかし、入院・転院時に連携医療機関スタッフと済生会熊本病院スタッフ間で主に対面で実施するカンファレンス(患者の状態や治療方針の引継ぎ)や、転院・退院後の患者フォローアップに多くの時間がかかっていたという。
そこで、入院準備から転院・退院時までのカンファレンスや患者への説明・フォローアップを、電子カルテとビデオ通話システムとの連携により、より効率的にオンラインで行う仕組みを構築し実証する。
さらに、入院事前説明のオンライン化、音声を活用した記録支援システムも組み合わせた一連の仕組みにより、証跡を担保すると同時に業務効率化の仕組みの構築を検証・評価。これらの実証により患者の病院滞在の負担を軽減し、患者や病院職員に感染防止の面でも安全安心な病院環境の実現を目指す。
同社ではこれらの実証により、地域の医療を支える急性期病院である東京都済生会中央病院と済生会熊本病院が、地域・患者・職員の安全を確保し、必要な医療サービスを持続的に提供できる仕組みの実現を目指すという。
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