Appleが2016年に欧州連合(EU)の欧州委員会から課された130億ユーロ(約1兆5900億円)の追徴課税をめぐって不服を申し立てていた裁判で、EUの一般裁判所は現地時間7月15日にAppleの主張を認める判決を下した。
Appleに対する巨額の追徴課税は、欧州委員会が2年がかりで行った調査の結果課されていたもの。EUの反トラスト当局によるこの調査では、Appleが欧州本社のあるアイルランドに収めた税金の額が十分なものであったかどうかが焦点となっていた。また欧州委員会のMargrethe Vestager氏は、Appleがアイルランドで支払った税金があまりにも少額であるために、同国の有利な租税制度を理由に多くの米国ハイテク企業が同国に拠点を移す事態となっており、これは「違法な政府補助」にあたると述べていた。
欧州委員会による追加徴税に対しては、アイルランドとAppleから抗議の声が上がった。Appleの最高経営責任者(CEO)を務めるTim Cook氏はこれを「政治的なたわ言」と批判し、同社はのちに控訴していた。同社による控訴を受けてEUの一般裁判所は2019年に審理を開始し、今回、Apple側の主張を認める判決を下した。
Appleは15日の声明で、同裁判所が時間を割いてくれたことに感謝し、結果に「満足している」と述べた。
経済協力開発機構(OECD)によって現在、デジタル企業に対する国際課税の見直しが実施されており、複数の国の間でより均等に税金を分配するという解決策に向けて作業が進行している。また欧州では、フランスや英国などで現在、それぞれが不足と思われる部分を補うために独自にデジタル税を導入する動きも進んでおり、米国のIT系各社や連邦政府からは反発の声も上がっている。
なお、今回の判決について、欧州委員会がEUの最高裁にあたる欧州司法裁判所に控訴する可能性が残っており、Vestager氏は「判決内容を注意深く検討し、可能な次のステップを考慮する」との声明を発表している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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