太陽や雨に頼る「1万年続いた農業」を脱却したBowery Farmingの挑戦

Claire Reilly (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年07月17日 07時30分

 ニュージャージー州中心部の工業団地に農場があるとは、誰も思わないだろう。

 もっと具体的に言うと、ニューアーク空港の近くに農場があるとは誰も思わないはずだ。この地域は日陰でも40度近くまで気温が上がり、トラックと駐車場がそこら中にある。だが、筆者はのどかな草地を探すためにここに来たわけではない。農業の未来について学ぶために来たのだ。

水不足の問題や今回の取材について伝える米CNETの動画(取材の様子は6:47あたりから)

 これといった特徴のない倉庫の中、鍵がかかったドアと除染室を通った先に、Bowery Farmingの事務所の1つがある。これは21世紀の農業であり、私たちの祖父母の世代が農作業をしていた広大な畑とは似ても似つかない。

 殺風景に見えるかもしれないが、この施設は、農産業が直面している最大の脅威への解決策を期待させる。人口過剰や気候変動、そして水量規制がかつてないほど厳格化されている時代において、この農場は確実性を与えるのだ。天候に左右されず、農薬も不要で、そのまま店頭に陳列できる食料が年間を通して栽培される。通常の農業に比べて、使用する水の量も95%少ない。

米CNETが2017年にBowery Farmingを取材した際の写真
こちらは米CNETが2017年にBowery Farmingを取材した際の写真
提供:Sarah Tew/CNET

深刻な干ばつ

 Bowery Farmingは、単に農業を最新のシリコンバレーベンチャー風に変えようとしているのではなく、もっと大規模な問題の解決に取り組もうとしている。

 経済協力開発機構(OECD)によると、農業用かんがいは世界中で使用される水の70%を占めているという。人々が食べるために作物が必要なのは当然だが、世界の水の使用状況という幅広い視点から考えると、これは憂慮すべき数字だろう。1980年代以降、水の使用量は毎年1%ずつ増加している。国連によると、10年以内に、世界中で7億人もが深刻な水不足によって移住を余儀なくされるおそれがあるという。

 それを、気候変動や過酷な干ばつによってもたらされるリスクと組み合わせて考えると、未来に暗雲が垂れ込める。

 「過去に比べて、干ばつは深刻化している」。そう語るのは、カリフォルニア州に拠点を置き、水問題の研究と政策立案に取り組むPacific Instituteで研究担当ディレクターを務めるHeather Cooley氏だ。「カリフォルニア州では、5年間にわたる非常に深刻な干ばつが発生したばかりだ。(中略)南アフリカでは、『デイゼロ』、つまり、人々が水を使い果たして、必要な最低限の量の水を得るために列に並ばなければならなくなる日のことが、話題になっていた」

 この問題は、オーストラリアやブラジルなど、世界中のさまざまな場所で感じられており、Cooley氏によると、その状況は悪化しているという。

 「干ばつがより長期化して、より広い地域が影響を受けるようになり、使用できる水がさらに少なくなる。対策を講じなければ、水に関してさらに多くの課題に直面することになり、それは人命の損失も伴うだろう」(同氏)

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]