大日本印刷(DNP)は資本提携している日本ユニシスと共同で、目線の動きを誘導するようなレイアウトを自動的に行うことにより、文章の読みやすさを高める技術「読書アシスト」を活用した実証実験を開始。特設サイトを公開した。無料の青空文庫の小説を変換後のレイアウトで閲覧できるほか、読書アシストのレイアウト表示に必要なプラグインソフトウェアも無償で提供し、任意の文章をを変換することもできる。期間限定で7月10日から9月30日までを予定。
読書アシストは、独自の文章表示アルゴリズムによって、読んでいる最中の目線の動きをスムーズに誘導し、読むスピードを向上させる文字レイアウト変換技術。日本語文における文節(意味のまとまり)ごとに目線を上手に動かせるように、文字配置や改行位置を調整することで、読むスピードが低下する要因となる余分な目線の動きを減らすものとなっている。2012年にDNPと公立はこだて未来大学が共同研究を開始し、文章を読み進める際の人の視覚や認知のメカニズムを踏まえて開発したものという。
読書アシストを適用したレイアウトでは、1分間に読める文字数が、一般的に400~600字程度であることに対して、特別な速読の訓練をしなくても、最大で1000文字程度まで、約1.5~2倍のスピードに向上させることができるとしている。
特設サイトでは、変換表示した小説作品として、芥川龍之介「蜘蛛の糸」や太宰治「走れメロス」などを用意しているほか、順次作品を増やしていくという。また専用サイトとプラグインソフトを無償で利用できるようにし、利用者が準備した任意の文章を、読書アシストで変換することもできる。
DNPでは、電子書籍などを提供するハイブリッド型総合書店hontoを運営しており、そのサービスの一環として、スマートフォンやタブレット端末で読みやすいテキスト表示の技術を研究を行っているという。近年では、多様な情報機器で文章を読むことが多くなり、さらに新型コロナウイルスによる外出自粛で自宅での読書や学習、テレワークなども増えており、文章を速くたくさん読みたいというニーズが高まっていることを背景として、読書アシストの技術を使った実証実験を通じて、利用者の読書や学習などの効率性向上や新たなニーズを探っていくとしている。
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