配達ロボットを利用したことのある人はまだあまりいないかもしれないが、そのような状況は、少なくとも人口が密集した都市環境で暮らす人にとって、今後徐々に変わっていきそうだ。
食料品や雑貨を配達する自律移動型ロボットを提供する企業はまだ少ないかもしれないが、増加し続けている。新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴って外食が制限されるとともに、非接触型サービスに対する見方が変化しつつあるためだ。企業は、消費者や地域の事業者に選ばれる、サービスとしてのロボットを手がけようと先を争っている。さまざまな配達ロボット開発企業がパイロットプログラムを発表し、拡大させている。新興企業Refraction AIによる、軽量でバイクのような配達ロボット「REV-1」もその1つだ。Refractionは、ミシガン州アナーバー地域内で食料品店The Produce Stationの商品を無料で配送している。
Refractionは、ミシガン大学で教鞭をとるMatthew Johnson-Roberson氏とRam Vasudevan氏が設立した企業だ。2人は、現在の物流の枠組みの中で、どの配達サービスよりも安全でコスト効率の高いラストマイル配送ソリューションを開発していると述べている。
最高経営責任者(CEO)で共同創業者のMatthew Johnson-Roberson氏は米ZDNetに対し、「われわれは、サイズと形に関して自動運転車のゴルディロックス(ちょうどいいモデル)を生み出している」とし、「このプラットフォームは自転車専用レーンや車道を走行できるほど軽量、軽快かつ高速だ。そして、他の自動運転車ソリューションを妨げたり低迷させたりしている地域的な厳しい気象パターンに対処しようとしている」と話した。
市場で支配的な地位をいち早く獲得しようとさまざまな企業が競い合う中で、このような差別化は欠かせないものになるだろう。地方自治体それぞれで規制や認可が場当たり的であることなどから、利用可能なロボットによる自動配達サービスはまだ非常に限られている。しかし新型コロナウイルスの感染が拡大した影響で、市場への普及が一気に加速し、時代の先端を走るブランドが地方自治体と関係を築く道が切り開かれたことは確かだ。Refractionがアナーバーにおけるこのパイロットサービスで料金を徴収していないことは注目に値する。
配達対象地域の利用者は、専用サイトから自動配達の注文ができ、商品の到着時にロボットを開けるための専用のコードが記載されたテキストメッセージや、プロセス全体を通じた配達状況の通知を受け取れる。REV-1が目的地に到着すると、利用者には路肩でロボットを出迎えるよう通知が送られ、受け取った専用のコードを入力して商品が入った袋を取り出す。
「非接触型配送の必要性がこれほど高まっているこの時期、食品配送に参入するのは当然のことだった」とJohnson-Roberson氏は述べた。「食料品購入のための安全なソリューションを、特にコミュニティーで危険にさらされているメンバーのために提供できて非常に光栄だ。The Produce Stationとの提携を通して知見とデータを収集し、食料品配送モデルをさらに拡大していく」
Refraction AIは、Miss KimやTio's Mexican Cafeといったアナーバーのレストランとも提携している。外出制限が発令された3月以降、レストランの自動宅配サービスに対する需要は増加しており、注文数はそれまでの3~4倍になっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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