もちろん、ラジカセより手軽に音楽を持ち運べる装置はあった。1995年には、カセットテープ式の「Walkman」が終わりに近づきつつあり、代わりにポータブルCDプレーヤー「Discman」が普及していた。グランジミュージックを聞きたければ、イヤーパッドの付いたヘッドホンを、長さ調節のできる金属製ヘッドバンドで頭に装着していただろう。もちろんBluetoothなどない時代で、ヘッドホンのコードはいつもからまっていた。一緒に持ち歩いていたのは、本のページのように開くクッション入りのCDケースと、カーステレオのカセットテープ挿入口にはめる、カセット型のアダプターといったところ。カセットテープ時代と唯一違うのは、自分で編集したお気に入りのミックステープがないことだ。
カメラは、まだ携帯電話と一体になっていない。写真を撮るにはカメラを別に持ち歩く必要があった。そして、1995年のカメラといえば、35mmフィルムを使っていただろう。フィルムを覚えているだろうか。あの小さな筒型の容器に入っているのを買ってきて、カメラに収め、終わったら取り出して現像する。デジタルカメラのメモリーカードと違って、フィルムは有限だったので、何を撮るのか、厳選する必要があった。今でもフィルムを使う写真家に言わせると、撮影枚数は少ない方がいいのだという意見もある。確かに、旅行中に撮った写真のプリントを近所の写真店で受け取るときの、あのワクワク感は懐かしい。
もちろん、動画撮影の機能も携帯電話には付いていなかったので、ぎこちない家族の集まりを撮ったり、旅行の記録を残したりするにも、また別のデバイスが必要だった(しかも、撮った動画は一度見るか見ないかくらいなのだ)。1995年までには、Hi8、MiniDV、VHS-Cといったテープの規格が登場しているので、高校の映画研究会が使っていたようなVHS規格のバカでかい機器ではなくなっている。肩にかつぐ大きさから片手で持てる大きさになり、持ち運びも容易になった。
1995年の携帯型ゲームといえば、まず任天堂のGame Boyだろう。初登場は1989年で、1990年代を通じて爆発的な人気を誇った。そのコンセプトは、今でも「Nintendo Switch」という形で生き続けている。筆者はGame Boyを持っていなかったので、その影響力については、米CNETのMark Serrels記者の言葉を借りよう。「その用途と同義語になるほどの、まれに見るデバイスであり、後に続いたあらゆる製品にとって、当然の見本のような存在だ。(中略)だが、Game Boyの最も偉大な点は、ゲームというものの遊び方、遊ぶ時、遊ぶ場所を根底から変えたことだろう」
皆さんは1995年にどのようなデバイスを持っていただろうか?
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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