JAL、羽田空港でWHILLの自動運転車いすを導入--空港でのサービス提供は世界初

 日本航空(JAL)と日本空港ビルデング、WHILLの3社は、7月1日、羽田空港国内線第1ターミナルで、自動運転車いすを活用したサービスの提供を開始した。

羽田空港国内線第1ターミナルで導入された自動運転車いす
羽田空港国内線第1ターミナルで導入された自動運転車いす

 このサービスはJALが羽田空港で展開する「JAL SMART AIRPORT」の一つ。SMART AIRPORTで掲げる5つのコンセプトのうち、「スムーズな移動」「ニーズに合わせたサポート」「『旅全体』へのサポート」の3点を実現するためのものとなる。なお、空港におけるパーソナルモビリティの本格導入は、世界初の事例になるという。

JALが羽田空港で展開する「JAL SMART AIRPORT」
JALが羽田空港で展開する「JAL SMART AIRPORT」

 自動運転車いすは、WHILLのパーソナルモビリティ「WHILL Model C」をカスタマイズしたものを採用。当初は3台が導入され、中国・四国・九州・沖縄方面への便が出発する南ウィングでサービスを提供する。

 車いすのステーションは、保安検査場Bの横に設置。ここから3~7番ゲートまで移動する利用者が対象となる。この区間は約200~300mほどの距離があるが、自動運転車いすのサービスによって、足腰が不安な利用者などへもスムーズな移動を提供する。なお、空港到着時から保安検査場の通過までは、当面は自力移動、もしくはJALが提供する手押し車いすでの移動となる。

 利用方法は、着座後にシートベルトを着用し、ボタンで目的地を選ぶのみ。ゲート3付近、ゲート4~6付近、ゲート7付近の3つから目的地を選ぶと、車いすは自動で走り出す。移動速度は時速3キロ程度と、健常者が歩くよりも少し遅い程度だ。

車いすに設置された画面で、目的地を選択する
車いすに設置された画面で、目的地を選択する
自動走行する車いす
自動走行する車いす

 自動運転車いすには、ステレオカメラやLiDARといったセンサー類が設置されている。前を横切るほかの利用者など、さまざまな障害物と遭遇した際には自動で停止し、安全を確保する。従来型の電動車いすでは、利用者自身が操縦するために操作誤りによる事故の懸念もあったが、センサー類で監視する自動運転とすることで、安全な移動を実現している。

 目的地に到着した自動運転車いすは、利用者が離席し、60秒が経過した後、自動でステーションへ返却される。こちらも、従来型の電動車いすや手押し車いすの場合、スタッフがステーションへと返却する手間があったが、自動でステーションへ戻る自動運転車いすの導入で、必要人員を削減できるという。

自動で返却される車いす
自動で返却される車いす

コロナ対策としての「密」防止にも

 羽田空港の国内線第1ターミナルは、全長が800メートルと長大だ。日本航空 空港企画部の大西康晴氏によると、「第1ターミナルでの車いす利用者のうち、約半分は長距離の歩行が不安なために利用している。日常生活では自力で歩行できる利用者でも、足腰の不安を感じ、羽田空港ではその広さから車いすを利用する人もいる」のだという。

羽田空港の国際線第1ターミナルは、全長約800メートル。保安検査場からゲートまで300メートル近く移動する必要があることも
羽田空港の国際線第1ターミナルは、全長約800メートル。保安検査場からゲートまで300メートル近く移動する必要があることも

大西氏は「そのような利用者に自動運転車いすを使用してもらい、よりスムーズかつ快適に移動し、空港内で有効に活用できる時間を楽しんでもらいたい」と語った。

日本航空 空港企画部の大西康晴氏
日本航空 空港企画部の大西康晴氏

 また、従来はスタッフが車いすを押すため、利用者とスタッフの間で「密」な状況が生まれていた。自動運転車いすの導入でこの状況を避け、新型コロナウイルスの感染リスク低減にも寄与できるメリットもあるという。

 WHILL 代表取締役兼CEOの杉江理氏は、「ソーシャルディスタンスの必要性が増す中で、主要空港から自動運転車いすの引き合いが来ている」と説明。今後は世界の50カ所の空港で展開する予定だと語った。

WHILL 代表取締役兼CEOの杉江理氏
WHILL 代表取締役兼CEOの杉江理氏

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