米マサチューセッツ州の州都ボストン市は米国時間6月24日、行政当局による顔認識技術の利用を禁じる条例を可決した。これまでにカリフォルニア州のサンフランシスコ市とオークランド市、マサチューセッツ州のケンブリッジ市が同様の規定を設けている。この種の技術の利用を禁じた都市としては、ボストンは2019年5月に禁止令を定めたサンフランシスコに次ぐ規模となる。
全会一致で可決されたこの条例により、ボストン市の行政は今後、顔認識技術の利用や、この技術を使った監視活動用ソフトウェアの入手ができなくなる。
ただし、この条例には例外条項が設けられている。たとえば、自分の所有するデバイスのロックを解除する場合など、市職員が認証目的で顔認識技術を利用することは許可される。また、画像内の顔を自動編集するために顔認識技術を利用することも認められる。しかし、画像内の人物を特定する目的での利用はできない。
今回の条例は、警察の改革、および顔認識技術など監視技術の利用制限を求める声が、米国全土で広がる中で可決された。ニューヨーク市などの都市は、市警が利用している監視ツールの情報を公開することを義務付ける法案を可決した。一方、AmazonやIBMなどの企業は、顔認識技術の警察への販売を一時停止することを発表している。
顔認識技術は、人種や性別によって判定に偏りがあることが研究者によって明らかにされて以来、広く批判されてきた。複数の研究結果で、顔認識アルゴリズムは白人男性よりはるかに高い確率で有色人種の人や女性を誤認することが示されており、政府機関によるこの技術の利用を懸念する声は高まっている。
米国自由人権協会(ACLU)は24日、市が使用する顔認識ソフトウェアの誤判定が理由で、黒人男性のRobert Williamsさんがデトロイト市警に誤って逮捕された事件を受け、同市警に苦情を申し立てた。この事件は顔認識のミスによって無実の人が逮捕された初めてのケースとみられるが、プライバシー保護を訴える人々は、警察が顔認識技術を使い続ければ、さらに同様の事件が発生すると懸念している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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