Zoomの最高経営責任者(CEO)であるEric Yuan氏は米国時間6月2日、無料ユーザーの通話にエンドツーエンドの暗号化を追加しないことにより、警察当局に協力できる体制を維持する方針を、アナリストらとの電話会見で明らかにした。これについては、Bloombergが先に報じていた。
「無料ユーザーには確かにそれを提供したくない。なぜなら誰かがZoomを悪用した場合、当社は米連邦捜査局(FBI)や現地の警察当局と協力したいからだ」とYuan氏は語った。
Zoomが現在取り組んでいるエンドツーエンドの暗号化は、通話において、各端末から他のすべての端末までの接続全体を保護するもの。Zoomのセキュリティコンサルタントを務めるAlex Stamos氏は2日のツイートで、有料アカウントのみがこれを利用できるようにすることについて説明し、「いやがらせ行為の大多数が、身元を偽る無料ユーザーによるもの」であるため、害は減るだろうとした。
新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務を強いられる人が増えたことを受け、Zoomの事業は急激に拡大した。それに伴い、同社に対する精査の目は厳しくなり、複数のセキュリティ上の問題が表面化した。
同社は、「子供の安全を推進する団体、公民権擁護団体、暗号化のエキスパート、警察当局」と連携して、同社戦略の強化に努めていることを電子メールで認めた。暗号化に対する同社のアプローチは、子供やヘイトクライムの潜在的被害者を保護することを目的としている。
Zoomの広報担当者は、「当社は身元を確認できるユーザーにエントツーエンドの暗号化を提供することにより、被害を受けやすいこうしたグループへの妨害行為を抑える計画だ。無料ユーザーは電子メールアドレスでサインアップできるため、身元を確認できる十分な情報がない」と述べ、「完璧なバランスを見定めるのは難しい。当社は常に正しいことをしようと努めている」とした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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