ソニーとマイクロソフト、映像解析ソリューションで協業--AI内蔵イメージセンサー活用

 ソニーセミコンダクタソリューションズとマイクロソフトは5月19日、AIスマートカメラと映像解析を用いたソリューションの構築に向けた協業を開始すると発表した。

左:インテリジェントビジョンセンサー IMX500(ベアチップ製品)、右:インテリジェントビジョンセンサー IMX501(パッケージ製品) 左:インテリジェントビジョンセンサー IMX500(ベアチップ製品)、右:インテリジェントビジョンセンサー IMX501(パッケージ製品)

 これまで、新しい収益機会の発見、運用の合理化など、企業が課題を解決するための手段として映像解析が用いられてきた。しかし、店舗、倉庫、配送センターなどに設置された膨大な数のスマートカメラから収集されたデータを扱う従来のアプリケーションでは、コンピューティングリソースの割り当てを最適化するのが困難なうえ、コストや消費電力の増加が生じていたという。

 今回の協業では、ソニーが5月14日に発表したインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」に、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」のAI機能を組み込み、スマートカメラなどで撮影された映像から情報を効率よく抽出する。また、IMX500の機能を補完し、映像解析の範囲や能力を拡張する「Azure IoT」および、「Azure Cognitive Services」を用いたスマートカメラの管理アプリを法人向けに開発した。

 IMX500は、世界初のAI処理機能を搭載した1/2.3型センサー(有効画素数約1230万画素)。画素チップとロジックチップを重ね合わせた積層構造を用い、ロジックチップにAIによる画像解析処理の機能を搭載する。ISP処理と高速なAI処理(MobileNet V1の場合、処理時間は3.1m秒)により、動画の1フレーム内で全ての処理が完結するという。AI処理機能を搭載することで、高速なエッジ処理が可能となり、必要なデータだけを抽出することができる。

 これにより、クラウドへのデータ転送量やレイテンシの低減、プライバシーへの配慮、消費電力や通信コストの削減などを実現する。Azure上で展開する管理アプリは、コンピュータービジョンと映像解析ソリューションを専門とする独立系ソフトウェアベンダーや、ハードウェア製品に付加価値を持たせたいスマートカメラのOEMが対象。パートナーが独自のAIモデルを搭載することもでき、コンピュータービジョンのソリューションをより利用しやすくするという。

 両社は、マイクロソフトのAI&IoT Insider Labsプログラムの一環として、コンピュータービジョン・映像解析分野のパートナーや法人顧客との共同イノベーションの実践を促進。AI&IoT Insider Labsプログラムは、マイクロソフトの製品部門や研究部門と参加企業が連携し、AIやIoTを活用したソリューションの開発、プロトタイプ、テストなどを支援するプログラムとなる。

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