バーチャルサイクリング「Zwift」を究極に楽しむ--室内トレーニング環境を作ってみた - (page 2)

充実のバーチャルサイクリング環境を目指す

 筆者はこれらの機材を一応ひと通り揃えており、そこへついにKICKRを導入することになった。タイミングとしてはまだ4月上旬のこと。屋外で自由にランニングできるのはずっと先になるだろう。であるなら、この機会に徹底的に室内トレーニング環境……というか、バーチャルサイクリング環境を整えるべきではと考えた。

KICKR導入直後の仕事部屋。すぐ隣の見えるところに自転車があって、あまり仕事に集中できない……
KICKR導入直後の仕事部屋。すぐ隣の見えるところに自転車があって、あまり仕事に集中できない……

 比較的コンパクトとはいえ、それなりの設置スペースが要求されるKICKRと自転車。これらは自分の仕事部屋に置くしかないのだが、Zwiftを本気でプレーしてやせるんだ! という強い意気込みを(主に家族に)証明するためと、他の仕事との兼ね合いから、全体をレイアウト変更することにした(といっても4畳半なので自由度はそんなに高くないのだけれど……)。デスクの向こう側、モニターを挟んだ向かいに自転車があるという形だ。デスクに座っている間は自転車が見えないので、仕事もきっちり集中してこなせるはず。

もう少しZwiftをプレーしやすいようにレイアウトを変更
もう少しZwiftをプレーしやすいようにレイアウトを変更
モニターに遮られて自転車が見えないので仕事に集中できる……気がする
モニターに遮られて自転車が見えないので仕事に集中できる……気がする

 Zwift専用のモニターは用意していないが、仕事用PCのモニター2台はモニターアームでデスクに固定しており、これをアームでくるっと反対側に回転させるだけで、あっという間に自転車の正面にモニターを移動させることができる。モニターを2台とも自転車側に向けると、なんだか近未来のコックピット感が漂わないこともない。

ぐいっとモニターアームを動かせば、自転車の正面にモニターが来る
ぐいっとモニターアームを動かせば、自転車の正面にモニターが来る

 本来Zwiftにはモニターが1台あれば十分なのだけれど、2台にするとちょっぴりいいことがある。それは、ライブ配信とその監視がしやすい、ということ。こういった高価な機材を使ったトレーニングで一番怖いのは、飽きてしまって長く続かず、無駄な投資になってしまうパターン。それを未然に防ぐ策がライブ配信なのだ。

 ゲーム感覚で楽しめるZwiftとはいえ、一生懸命プレーしているのにも関わらず成果(体重が減るとか)が全然見えてこないと、どんどん苦行めいたものに思えてきてしまう。いくらオンラインで世界中のユーザーと走ることができようが、結局のところ室内トレーニングというのは孤独なもの。すぐに挫折して三日坊主になる可能性は十分にある。

2台のモニターを自転車側に向ける。右側の画面でライブ配信を監視
2台のモニターを自転車側に向ける。右側の画面でライブ配信を監視

 ところがプレーの様子を動画でライブ配信することで、誰かに「見られている」というプレッシャーを自らに与えることが可能になる。見られていると思うと自然と(半強制的に)自転車に足が向き、「ちゃんとやらないと」という緊張感からトレーニングにも身が入る。結果、消費カロリーも増える。

 ライブ配信時に2台モニターがあれば、1台はZwift用、もう1台は配信用ソフトや配信先プラットフォーム(Facebook LiveやYouTubeなど)の監視にそれぞれ独立して使えるので便利。モニターアームでフレキシブルに調整できることで、自転車に乗りながらも見やすい位置に配置できるのもメリットだ。

Facebook Liveによるライブ配信の様子。時にはビデオカメラも組み合わせる。オッサンの汗かき動画を見たところで誰も得しないけれど、自分へのプレッシャーにはなる
Facebook Liveによるライブ配信の様子。時にはビデオカメラも組み合わせる。オッサンの汗かき動画を見たところで誰も得しないけれど、自分へのプレッシャーにはなる

 もう1つ、Zwiftをプレーするときに揃えておきたいのが、ANT+対応の機材を使えるようにするUSB接続のアダプターだ。Zwiftを動かしているPC(スマートフォンほか)と、KICKRや心拍センサーは、無線通信でデータをやり取りして連動する。この時使われるのが標準的にはBluetoothなのだが、Zwiftではもう1つANT+という通信規格も利用可能になっている。

パソコンなどで使えるUSBドングルタイプのANT+アダプター
PCなどで使えるUSBドングルタイプのANT+アダプター

 ANT+は自転車用の周辺機器などでよく用いられている通信規格で、KICKRやZwiftの場合、どちらかというとBluetoothよりも相性がいい印象。筆者の環境ではBluetoothだとZwiftのプレー中に接続が切れる(Zwift上では走行不可になる)現象がたびたび発生していたが、アダプターを購入してANT+に切り替えたところぴたりと収まった。ただ、PCとKICKRの距離が離れているとANT+でも不安定になることがあるので、USB延長ケーブルもあわせて購入。確実に電波が届くようにして動作の安定化を図った。

USB延長ケーブルでKICKRの近くに設置
USB延長ケーブルでKICKRの近くに設置

 最後はスピーカーだ。Zwiftは3Dグラフィック自体はまぁまぁリアル(1〜2世代古いゲームくらいのイメージ)なうえに、サウンドもそこそこ凝っている。道路脇にいる観客の声援や鳥の鳴き声、吹きすさぶ冷たい風、豪快に流れる滝の音、あるいは石畳を走るときの走行音など、多様な環境音がしっかり再現されていて、それが実走感をさらに高めているのだ。

スピーカーを自転車の前に設置。これでZwiftの環境音を生々しく再現できる
スピーカーを自転車の前に設置。これでZwiftの環境音を生々しく再現できる

 これをよりリアルに体感できるようにするためにも、スピーカーもしっかりしたものを用意して、自転車の前に置いておきたい。サーキュレーターやエアコン、ペダルを回したときのチェーンの音がかなりのノイズになってしまうので、Zwiftのボリュームは少し大きめにしておくことに注意しよう。

まだまだアップグレードして今後のメイントレーニングに

 こうして充実させたバーチャルサイクリング環境は実に快適で、Zwiftを100%満喫できている、と思う。こまごまとした機材は元々所有していたものを流用しているのがほとんどなので、新たな投資額としてもそれほど大きくならずに済んだ。これだけの環境を整えたのだから、トレーニング効果が爆上がりで、さぞ体重も減りまくっているのだろうな、と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、そこはあまり聞かないでほしい……。

 4月半ばにKICKRを購入し、Zwiftを本格的に始めてからすでに40日近く経つ。これまでにZwiftを休んだのは、脚の疲れが限界突破してトレーニングが逆効果になると感じた1日だけ。ときどきライブ配信して自らにプレッシャーをかけたり、知り合いの人たちとZwiftでオンラインレースをしたりしているのが、モチベーションを保てている要因だと思う。

 無事1カ月以上続けられたご褒美として、ビンディングペダルとシューズもアップグレードし、バーチャルサイクリング環境はどんどん充実するばかり。そろそろ外出自粛が緩和されそうな雰囲気も出てきている今日この頃だが、事故の危険性がなく安全に、手っ取り早くトレーニングできるバーチャルサイクリングは、これからもメインのトレーニング手段であり続けそうだ。

新しいビンディングペダルとシューズも手に入れて、ますますトレーニングに身が入る
新しいビンディングペダルとシューズも手に入れて、ますますトレーニングに身が入る

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