では、現在感染拡大が続いている新型コロナウイルスは、楽天の業績にどのような影響を与えているのだろうか。
三木谷氏は緊急事態宣言が発令された2020年4月の動向に関して、外出自粛の影響により楽天市場を中心としたEコマース事業や、「Kobo」などのコンテンツ事業が国内外で大きく伸びていると説明。中でも楽天市場に関しては、医薬品や衛生用品、日用品だけでなく幅広い分野の商品の販売が大きく伸びており、4月の取扱高は前年同期比で57.5%と大きな伸びを示しているとのこと。「マーケットプレイス型の強みがここにきて出ているのかもしれない」と、三木谷氏はその理由にうついて説明している。
ちなみに楽天市場に関しては、2020年3月18日より3980円以上購入した場合送料無料になる「送料込みライン」の導入が始まっている。2020年2月に公正取引員会が緊急停止命令を実施したことの影響もあって、全店舗での一斉導入は見送られたものの、導入店舗は2020年4月末時点で80%を超えており、導入店舗は未導入店舗と比べ取扱高が前年比で28.7ポイント伸びているとのこと三木谷氏は説明。未導入店舗に対しては今後も根気強く説得を続けたいとしている。
一方で、マイナスの影響を大きく受けている事業として挙げられたのが、「楽天トラベル」と「楽天ゴールデンイーグルス」「ヴィッセル神戸」などのスポーツ事業だ。前者は国内外で旅行需要が大幅に減少していること、後者は試合の開催そのものが見送られていることが大きく影響しているそうで、三木谷氏も「回復には相当時間がかかると思っている」と答えている。
ただ「楽天カード」の事業に関しては、オフラインでの取扱高が減少する一方で、オンラインでの取扱高が増えたため横ばい傾向にあるとのこと。世界的に見るとクレジットカードの取扱高は落ち込む傾向にあるが、楽天のオンラインサービスとの連携が強いこともあり、4月の状況も「対前年度比ではまだ伸びている」と三木谷氏は説明、比較的順調な様子を示している。
また同社では新型コロナウイルスの影響を受け、在宅勤務への移行を積極化、金融系を除いた在宅勤務率は97%に達しているとのこと。今回の出来事を機として今後は働き方の多様化を推し進め、オフィス拡張の計画なども見直していく意向を示しているそうで、「生産性向上と事務所経費などを含めたコスト削減という意味において、かなり大きな効果が出るんじゃないかと考えている」と三木谷氏は話している。
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