Facebookは、係争中だった元コンテンツモデレーターらと総額5200万ドル(約56億円)で和解に達した。原告らは、同ソーシャルネットワークに投稿された暴力的な画像や映像をいくつも審査したことで、精神的トラウマや心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんだとして提訴していた。
この訴訟は2018年に起こされたもので、Facebookは多数のコンテンツモデレーターに安全な職場を提供しなかったことによりカリフォルニア州法に違反したとされている。訴状によると、元モデレーターらはFacebook上でライブ配信された殺人や自殺、斬首などのコンテンツを審査していたという。
原告代表を務めるサンフランシスコの法律事務所Joseph Saveri Law FirmのSteve Williams弁護士は、「この業務がもたらし得る害は現実であり、深刻だ。今回の和解は意味のある救済を提供するもので、私もその一端を担ってきたことを誇りに思う」と述べた。
原告側弁護団が出したプレスリリースによると、カリフォルニア州、アリゾナ州、テキサス州、フロリダ州にあるFacebookのパートナー会社に勤務していた現役および元コンテンツモデレーター1万人以上が和解金を受け取る資格を得るが、それにはまだ承認を受ける必要があるという。モデレーターは1人1000ドル(約11万円)ずつ受け取り、一部はそれ以上の補償を受ける可能性がある。問題の業務が原因で特定の症状が認められたモデレーターは、補償金を受け取って治療に充てることができる。和解金の残額に応じて、補償金は最大5万ドル(約540万円)になる可能性がある。
Facebookの元コンテンツモデレーターで、2017年6月から2018年3月まで同社で業務を請け負っていたSelena Scola氏は、この仕事でPTSDを発症したと訴えた最初の原告だ。同氏は、コンテンツの監視でFacebookに協力していたフロリダ州の人材派遣会社PRO Unlimitedの従業員だった。Facebookと契約していた他の元コンテンツモデレーターらも、後に訴訟に加わった。
和解条件の一環として、Facebookは人材会社に対し、資格を持つ精神衛生カウンセラーによるコーチングセッションの提供など、精神衛生面でのサポートを義務付ける。
Facebookの広報担当者は、「Facebookを全ての人にとって安全な環境にするという重要な仕事をしてくれている人々に感謝する」「この和解を通じて、また将来的にも、そうした人々にさらなるサポートを提供していく」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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