新型コロナウイルス関連

10万円給付のオンライン申請に落とし穴--「署名用電子証明書の失効」に要注意

 政府が国民1人あたりに10万円を一律で給付する「特別定額給付金」のオンライン申請受付が、5月1日に開始した。私が住んでいる自治体でも5月7日から受付が始まったため、早速オンライン申請にチャレンジしてみたが、結論から言えば残念ながら最後まで手続きを完了することができなかった。そこには「署名用電子証明書の失効」という落とし穴があった。

「特別定額給付金」のオンライン申請に失敗
「特別定額給付金」のオンライン申請に失敗

あと一歩のところで「オンライン申請」に失敗

 オンライン申請にあたり、私はマイナンバーカードと、マイナポータルに対応したスマートフォン(iPhone 11 Pro)を用意。マイナンバーカードの読み取りの際に必要になるスマートフォンアプリ「マイナポータルAP」も事前にダウンロードした。

 また、手続きの際にマイナンバーカードの「署名用電子証明書」のパスワードを5回連続で間違えるとロックがかかり、解除するには役所に行く必要があることも知っていたため、手元にパスワードの控えも用意していた。これで準備万端だ。

 オンライン申請受付が始まったことを確認して、「マイナポータル」から特別定額給付金の申請ページにアクセス。電話番号などの連絡先や住所、氏名、生年月日、銀行口座情報、申請者情報などの必須事項を入力し、振込先のキャッシュカードの写真を添付した。

マイナポータルにアクセスして必要な項目を埋めていく
マイナポータルにアクセスして必要な項目を埋めていく。マイナンバーカードを読み取ると入力を省略できる

 あとはマイナンバーカードを使った「電子署名の付与」をして送信すれば完了だ。連動するマイナポータルAPに署名用電子証明書のパスワードを入力して、iPhoneでマイナンバーカードを読み取る。すると「電子署名の付与に成功しました」と表示された。これでよしとサイトを確認すると、そこには「署名用電子証明書が失効しています。市区町村の窓口で電子証明書の発行手続を行ってください。」という、無慈悲な赤文字のエラーが表示されていた……。

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あと一歩のところで「署名用電子証明書が失効しています」と表示され断念

 どうやら、役所の窓口で電子証明書を再発行しないと、この先には進めないらしい。新型コロナウイルスの感染を防ぐために、非対面でのオンライン申請をしようとしているのに、発行手続きのために役所に行ってしまったら本末転倒だ。ここで心が折れ、泣く泣くオンライン申請を諦めて、郵送に切り替えることにしたのだった。

「署名用電子証明書の失効」という落とし穴

 なぜ、マイナンバーカードの署名用電子証明書は失効してしまったのか。それは、1年半ほど前に引越しをして、役所でマイナンバーカードの住所変更の手続きをした際に、あわせて署名用電子証明書を再発行しなかったためだ。

 もう少し詳しく説明すると、マイナンバーカードのICチップには、インターネットで電子文書を作成・送信する際に利用する「署名用電子証明書」と、マイナポータルへのログインやコンビニでの証明書交付などで利用する「利用者証明用電子証明書」という、2つの電子証明書が搭載されている。

電子証明書の説明図(総務省のウェブサイトより)
電子証明書の説明図(総務省のウェブサイトより)

 今回のオンライン申請で必要になる署名用電子証明書は、マイナンバーカードを発行したあとに、引越しによる住民異動の届出(転入・転居など)や、戸籍の届出(婚姻など)によって住所や氏名が変わると、電子証明書と住民票の記載内容が異なるという理由から、失効してしまう。そのため、役所で改めて署名用電子証明を発行する必要がある。

 引越しの際に、役所でマイナンバーカードの住所変更手続きをしたという人も多いだろう。たしかに、それによってマイナンバーカードの表面に記載されている住所内容は上書きされるのだが、実はそれだけでは署名用電子証明書は更新されておらず、別途手続きが必要になる。つまり、住所変更だけでは足りないのだ。

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