新型コロナウイルス関連

10万円給付のオンライン申請に落とし穴--「署名用電子証明書の失効」に要注意 - (page 2)

役所も想定外?10万円給付で「署名用電子証明書」が必須に

 しかし、ここで疑問が残る。私が引越しの手続きをしたのは1年以上前のため、記憶が曖昧なのだが、はたしてマイナンバーの住所変更手続きの際に、その説明をちゃんと職員から受けたのだろうか。

 気になってTwitterで「署名用電子証明書が失効」で検索してみると、私と同じく失効していたためにオンライン申請ができなかったという投稿が多数見つかり、「役所の人にそんな説明受けてないんですが」「窓口で書き換えた際にそんなこと一言も言われなかったんだけど」といった声も多く見られた。

 こうなったら真相を確かめるしかないと思い、自分が住んでいる自治体の役所に電話で問い合わせてみたところ、電子証明書の担当職員が応対してくれた。職員によれば、引越し手続きに来た人には、必ず署名用電子証明書についても説明するオペレーションにしているため、説明漏れが起きることはないという。

 ただし、これまでは国税電子申告・納税システム「e-Tax(イータックス)」などを使う人でなければ、署名用電子証明書が求められる機会がなかったため、窓口の職員によっては「失効はするが、e-Taxを使わないのであればすぐに更新する必要ない」と伝えていたのだという。おそらく私もそう言われて更新しなかった一人だ。今回の特別定額給付金で突然必要になることは「当時は想定できなかった」と職員は本音を漏らした。

国税電子申告・納税システム「e-Tax(イータックス)」
国税電子申告・納税システム「e-Tax(イータックス)」

 また、署名用電子証明書は本庁でしか発行できない。そのため、小さな市政窓口などでは「本庁で発行してください」と案内するに留めており、「e-Taxは使わないし、わざわざ本庁に行くのは面倒くさい」と考える人もいるだろう。その結果、本庁まで行って手続きをしない人がいることも、失効が多発している要因になっているのではないかとのことだった。

 なお、私の住んでいる自治体は5月7日からオンライン申請の受付けを開始しているが、その翌日の5月8日は、混んでいる時間帯だと、マイナンバーカード関連の手続きのために30人近く訪れており、案内までには1時間半ほど待つ場合があるとのこと。手続き自体は20分で終わるという。ただし、新型コロナウイルス感染のリスクもあるため、できるだけ郵送などの方法も検討してほしいとのことだった。また、どうしても役所を訪れる際には、事前に電話で混雑状況を伝えることもできるため、こちらも活用してほしいとのことだ。

 今回の特別定額給付金によって、窓口での案内方法も見直されそうだが、今後、引越しでマイナンバーカードの住所変更手続きをする際には、署名用電子証明書の更新も忘れないようにしたいところだ。

 ちなみに、公的個人認証サービスポータルサイトで提供されている「利用者クライアントソフト」(PCとスマホ対応)を使えば、自分のマイナンバーカードの署名用電子証明書が有効か失効かを確認することができる。これからオンライン申請が始まる市区町村にお住まいの方は、事前に確認しておくといいかもしれない。

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