新型コロナウイルス関連

臨時休業中の蔦屋家電にアバターで来店--遠隔からコンシェルジュと本選びを体験

臨時休業中の蔦屋家電にアバターを使って来店

 臨時休業中の「二子玉川 蔦屋家電」は5月3日、普及型コミュニケーションアバタ―「newme(ニューミー)」による、選書体験「avatarin store meets 二子玉川 蔦屋家電 -Book Selection-」(avatarin store meets 二子玉川 蔦屋家電)を実施した。

普及型コミュニケーションアバタ―「newme(ニューミー)」による、選書体験「avatarin store meets 二子玉川 蔦屋家電 -Book Selection-」を実施した。
普及型コミュニケーションアバタ―「newme(ニューミー)」による、選書体験「avatarin store meets 二子玉川 蔦屋家電 -Book Selection-」を実施した。
臨時休業中の「二子玉川 蔦屋家電」にコミュニケーションアバター「newme」で来店
臨時休業中の「二子玉川 蔦屋家電」にコミュニケーションアバター「newme」で来店

 “アバターイン”して、蔦屋家電に来店し、コンシェルジュの方に店内を案内され、話しをしながら好みの本を紹介してもらう。その様子は実際に訪れてコミュニケーションを取りながら、応対してもらっているかのようだ。ここでは、実際に体験したアバターインによる来店、選書の様子をレポートする。

 二子玉川 蔦屋家電では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月8日から臨時休業に入っている。期間は「当面の間」としており、再開時期は未定だ。蔦屋家電とavatarinでは以前から、newmeを使った企画を進めていたが、新型コロナウイルス感染拡大防止による休業を受け、急遽内容を変更。アイデアから1カ月程度、実質約2週間というスピードで、今回のイベントに踏み切った。

 内容は、5月3日限定で蔦屋家電にアバターインしてコンシェルジュと本を選ぼうというもの。事前に参加者を募集しており、当日は選書テーマ「社会人3年目までの相談室」「住まいのなかのプロダクトに関する本から」「知らない世界に連れていってくれる『旅』の本」「はじめての純文学」を各1時間ずつ2回実施。選書はワークスタイル、住、アート、人文コンシェルジュが担当する。

 体験したのは、人文コンシェルジュである北田博充氏によるブックセレクション。北田氏は出版社「書肆汽水域」を展開するほか、本屋博実行委員長を務めるなど、幅広い活動領域を持つ。

 自分の代わりに蔦屋家電を訪れ、北田氏とコミュニケーションを取ってくれるのは普及型遠隔コミュニケーションアバターnewme。2019年10月に発表され、この春からサービスを実施している。10.1インチのディスプレイを搭載し、下部には車輪を備え、自立移動が可能だ。アバターインする人はタブレットのモニターを通じて、蔦屋家電の店内の様子を見たり、周りのいる人と話したりといったコミュニケーションがとれる。

蔦屋家電店内にいる北田氏とnewmeを通じて会話しているところ
蔦屋家電店内にいる北田氏とnewmeを通じて会話しているところ

 PC上から操作ができ、専用サイトにログインするとnewmeから見えている店内の映像とその下にnewmeの足元の映像、右横に小さく自分の顔が表示される。PCの上下左右キーを使って移動ができ、PCのマイクとスピーカーを通して会話ができる。

 newmeの走行速度は時速2.9km。実際に操作してみると予想以上にスピード感を持って動ける印象。来店時同様に入り口から店内まで、北田氏の後ろにスムーズについていけた。蔦屋家電は1日平均約2万人の来店客があるが、休業中の店内はもちろん人がおらず、通常の店内の様子からは想像もできない。

PC上の画面。上部の大きい画面がnewmeを通して見ている店内の映像。下の小画面が足元の映像で、障害物や進み具合を確認できる。右横に小さく自分の顔が表示される
PC上の画面。上部の大きい画面がnewmeを通して見ている店内の映像。下の小画面が足元の映像で、障害物や進み具合を確認できる。右横に小さく自分の顔が表示される

 来店後はエントランスを抜け、店内中央まで移動。スタッフの方に手伝っていただいて、エスカレーターで2階へ移動した。児童書などが展示されている2階をぐるっと一周。途中店内の鏡の前「こんな様子です」とアバターインしている自分の様子を見せてもらう。

エレベーターに乗って2階へ。スタッフの方に乗せていただいたが「重くてすみません」という気持ちになる
エレベーターに乗って2階へ。スタッフの方に乗せていただいたが「重くてすみません」という気持ちになる
店内の鏡でアバターインしている様子を見せてもらう
店内の鏡でアバターインしている様子を見せてもらう

 newmeを通じて見る店内は、画質はやや粗いものの、エスカレーター、書棚、フロアの床のデザインなどを視認することが可能。「この辺りまで進んでください」と声をかけてもらうことで、迷うことなく移動できた。最初は距離感がつかめず、到達点前に止まってしまったり、行き過ぎてしまうことも。直進する時は、床材の線に沿って進むと 、自分の位置が確認しやすかった。

 ディスプレイを傾けることで、平置きの本のタイトルが確認できたり、書棚に近づくことで、並べられている本も見えるなど、この辺りは店内にいるような情報量が得られる。北田氏に本を開いてもらうとその内容も見ることができだ。

書棚を見る。平置きになっている書籍はタイトルなどを確認できる
書棚を見る。平置きになっている書籍はタイトルなどを確認できる
近づくと表紙やタイトルが読み取れる
近づくと表紙やタイトルが読み取れる
北田氏が中身を開いてくれると中も確認できた
北田氏が中身を開いてくれると中も確認できた

好きな本3冊から人文コンシェルジュによって広がる本の世界

 その後は再度エスカレーターに乗せていただき、1階へ移動。実際に選書を体験する。北田氏から「好きな本を3冊くらいあげてください」と言われ、森村桂さんの「天国にいちばん近い島」、辻村深月さんの「スロウハイツの神様」、中島らもさんの「ガダラの豚」と伝えると、「ストーリーがはっきりしていて、ワクワクするような本がお好みかも」とアドバイスをいただく。こちらからは「読みやすい純文学を教えてほしい」とリクエストした。

 北田氏が選んでくれたのは、多田尋子さんの「体温」、市原佐都子さんの「マミトの天使」、連城三紀彦さんの「戻り川心中」の3冊。体温は女性が主人公の短編集。「作者の多田尋子さんは芥川賞候補になった回数が最も多い作家さんかも」(北田氏)との情報も。店頭では体温の書籍とともに石亀泰郎さんの写真集「ふたりっ子バンザイ」が並べられており、北田氏に「多田尋子さんはカメラマン石亀泰郎さんと結婚されていて、この写真集はお二人のお子さんの記録」と教えていただく。ジャンルの違う書籍が同じ場所に並べられ、本の世界を広げる、店頭ならではの出会い方だと感じる。

 マミトの天使は「芥川賞にもっとも近い作家のお一人。今後文学界の最前線にくるのは間違いない書き手。チェックしておくべき」と一押し。戻り川心中は「ミステリーがお好きとのことだったので」とこちらの好みを配慮してのチョイス。「歴代のミステリー作家として常に上位に食い込む連城三紀彦さんだが、とにかく文章が上手。読んでいて情景が目に浮かび、心情描写もとてもうまい。まだ読んだことがないならぜひこの本から読んでほしい。もし気に入ったのなら次は直木賞受賞作の『恋文・私の叔父さん』を」と、さらにその先まで指南していただいた。

「ぜひ、これから読んでほしい」と北田氏がおすすめしてくれた「戻り川心中」
「ぜひ、これから読んでほしい」と北田氏がおすすめしてくれた「戻り川心中」

 newmeを通しての来店となったが、声も聞き取りやすくスムーズ。書店で本を選ぶという現在では体験しづらい体験をさせていただいた。実際コンシェルジュの方と話しながら本を選んだ経験はなかったが、世界が広がり、新しい本に出会えることも新鮮で、大変楽しいひとときとなった。

 avatarin store meets 二子玉川 蔦屋家電は1日限定のイベントだが、蔦屋家電ではアクティビティなども含め、今後もnewmeと連携したイベントを企画していく計画だという。緊急事態宣言に伴う外出自粛で外に出ることもままならない日々が続くが、アバターであればどこからでもすぐに店頭を訪れられる。日常的に遠隔地から来店ができるようになる日も近いかもしれない。

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