農林水産省は4月24日、第2回「フードテック研究会」を開催した。会議はウェブ会議システムを活用。民間企業や団体から約200名が参加し、将来的なタンパク質の供給に向けたルール形成や培養肉や昆虫に関する技術、代替肉などに対する社会的文化形成について議論した。
世界的な人口増加や中所得国・低所得国の経済成長を背景に、将来的に食肉等の畜産物の需要が増加すると見込まれている。自給率が低い日本では、従来の畜産に加えて新たなタンパク源として代替肉、養殖魚、昆虫、培養肉などによる次世代フードシステムの構築を急ぐ必要がある。
農林水産省が掲げる2030年までに農林水産物・食品の輸出額5兆円という政策目標に向け、「10年後に新市場で稼げる産業」を中心に検討を進めていく。
米国では、人工肉を開発・製造する企業がFDA(米国食品医薬品局)の承認を取得し始めた。シンガポールでは培養肉や代替タンパク質などを含む食品生産を規制するフレームワークを進める動きがある。また、食用昆虫の養殖がさかんなタイではコオロギ養殖のGAPの認証が始まるなど、食の安全規格に向けた取り組みが進んでいる。
そうした海外の動きを踏まえ、「日本でも認証制度や表示・マーク等を検討することが重要」「国内の安全性評価の国際標準への準拠について検討する必要がある」など、諸外国との連携や海外の規格との互換性なども含めたルールづくりの検討を求める声が挙がったという。そのためには、民間企業だけではなく、関係省庁間の連携も重要なテーマになってくる。
一方で、遺伝子組み換え作物のように、「規制が整理されても、社会受容がなければ社会に入ってかないのではないか」との指摘もあったという。提供する側の意見だけでなく、消費者側の視点も押さえながら社会的文化形成の議論をしていく必要がある。
なお、国内の動きとしては、3月31日に食料・農業・農村基本計画が閣議決定された。「新たな市場創出に向けた取組」として、「多様な食の需要に対応するため、大豆等植物タンパクを用いる代替肉の研究開発等、食と先端技術を掛け合わせたフードテックの展開を産学官連携で推進し、新たな市場を創出する」としている。
また、内閣が進める「宇宙基本計画(案)」でも宇宙政策に対する具体的なアプローチとして、完全資源循環型食料供給システムや「QOL」を高める食の実現に向けた産学官の連携強化、共同研究の促進や産業育成を推進する動きがある。
第3回は5月15日を予定しており、業種の垣根を越えた連携や技術協力、資金・人材供給などについて議論する予定だ。ウェブ会議システムでこれまでと同様に非公開で行われる。6月をめどに中間取りまとめをする方針だ。
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