ドコモ、新型コロナは「5G計画」にも影響--2019年度は減収減益の決算 - (page 2)

新型コロナウイルスの影響で業績予想は「非開示」

 だが、そうした事業計画に大きな影を落とすのが、感染が拡大している新型コロナウイルスの影響だ。

 吉澤氏は「通信事業者として、安定した通信システムの提供に努める」とする一方、感染拡大にともない3〜4月に失効したdポイントの再進呈や、25歳以下の通信量50GBまでの無償化を6月まで延長すること、「モバイル空間統計」を利用した人口変動分析を政府やメディアに提供することなど、サービス面でもさまざまな対応をしていると説明する。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うNTTドコモの対応一覧。決算発表と同日には25歳以下の利用者に向けた通信量50GBまでの無償提供を、2020年6月まで延長することが発表されている
新型コロナウイルスの感染拡大に伴うNTTドコモの対応一覧。決算発表と同日には25歳以下の利用者に向けた通信量50GBまでの無償提供を、2020年6月まで延長することが発表されている

 また吉澤氏は、新型コロナウイルスが業績に与える影響についても説明。海外渡航者・来訪者の減少で国際ローミング収入は大幅に減少するとしたものの、在宅率が高まりテレワークが増えたことによるデータ通信量増加の影響は「2020年1月にギガホを60GBに増量したことで利用が大きく伸びたが、3月以降はそこまで伸びていない」(吉澤氏)ことから微増にとどまるとの見方を示した。

 一方で音声通話の利用は伸びており、テレワーク用途として意外にも音声通話が多く用いられているという。とはいえ、そうした利用者の多くは音声定額のオプションを契約していることから、必ずしも業績の伸びに影響するわけではないという。

 また、ショップの営業時間縮小による来店者の減少、さらには端末など物品の納入遅れなどで、端末やサービスの提供が減る可能性があるとのこと。特にシニアがショップを訪れる機会が大幅に減少していることから、2019年より力を入れてきた3Gから4Gへのマイグレーション需要が落ちてきているという。

新型コロナウイルスが与える影響の一覧。国際ローミングの利用が大幅に減る一方、テレワークの拡大でデータ通信よりも音声通話の利用が増えているという
新型コロナウイルスが与える影響の一覧。国際ローミングの利用が大幅に減る一方、テレワークの拡大でデータ通信よりも音声通話の利用が増えているという

 影響は5Gの設備投資計画にも及ぶとしており、新型コロナウイルスの影響で5Gの整備に必要な通信機器の納入や、実際に工事をする事業者の活動に遅れが出ることで、5Gのエリア整備そのものが遅れる可能性があるという。吉澤氏は、2021年3月の全国500都市へのエリア展開は「絶対やりたい」としているものの、その後は1万局に向け基地局数を増やす段階に入ることから、影響が長期化すれば機器や人員の数を確保できず、遅れが生じてしまう可能性があるとしている。

 そのため現時点で合理的な業績予想の算定が困難であるとして、2020年度の業績予想は非開示とすることも明らかにされた。今後合理的な算定が可能になった時点で業績予想を開示したいとしている。一方で吉澤氏は、新型コロナウイルスの影響でさまざまなプラス・マイナスの要素があるものの、「財務基盤にもの凄く大きな変化が出るわけではなく、フリーキャッシュフローも安定的に創出されると見込まれる」ことから、株主への配当は1株あたり120円と、2019年度の水準を維持するとした。

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