組織改善プラットフォーム「wevox」など、People Tech事業を展開するアトラエは、パーソルプロセス&テクノロジーのコンサルティング部門であるワークスイッチコンサルティングと共同で、テレワークとエンゲージメントの関係について分析。その結果を4月20日付で公表した。
今回の調査は、ワークスイッチコンサルティング内でテレワークを実践している社員約20人を選出し、「テレワークを実施しており、2019年10月に人事異動があった組織」と「テレワーク実施中の組織(同10月には大きな人事異動なし)」の2グループ。期間は2019年10月から2020年3月。また、今回の調査対象のチームは、テレワークを週4~5回のペースで実施。分析はwevoxのエンゲージメントデータを活用している。
テレワーク実施中の組織において、「チームワーク」と「組織への共感」のエンゲージメントスコアが、長期的に下降トレンドになることがわかったという。これは長期間のテレワークにより、人と人とが直接会えない時期が続くことで、人とのつながりが弱まってくる可能性があることを示唆しているという。
また、2019年10月に人事異動があった組織となかった組織で比較した場合、人事異動があった組織のほうが、仕事への熱中度合いが低下したという。ここから、テレワークの実施と人事異動が重なると、仕事への熱中度合いが低下する事があると分析している。
このことから、テレワークによって「新しい業務について、自分のやるべき仕事やその意義を明確にしていくこと」と「新しい環境において、一緒に働くメンバーの人となりを知っていくこと」が困難だったと、推察しているという。
ただし、異動があった組織について、ワークスイッチコンサルティングにて「オンライン通話サービスを利用した1on1」や「週次の部署全体のオンラインMTG」、「月次のワークショップ」など、組織方針の共有を密に実施し、スコアが改善したという。
テレワーク実施中の組織についても、テレワーク環境下で直接顔を合わせることができなくとも、 1on1などのコミュニケーションを適切に実行することで、組織への共感やチームワークを維持や強化をすることができるという。
分析の結果として「テレワークの長期継続は、組織への共感度合いやチームワークが悪化する場合がある」「テレワークと異動が重なると、エンゲージメントが悪化する場合がある」「いずれの場合でも、エンゲージメントの向上につながると考えられる対応策がある」「特に今回の場合においては、オンラインでの1on1実施や、組織方針の明確化と共有などが有効だったと考えられる」とまとめている。
wevox学術顧問である慶應義塾大学の島津明人教授は、「テレワークを行っていても,オンラインを活用したマネジメントの工夫によりワーク・エンゲイジメントが維持される可能性を示唆している。社会的距離を保つことが要請されている状況では,職場の仲間とのオンラインを通じたコミュニケーションが、人間が持つ人と関わりたいという親和欲求を満たしていると思われる」とまとめている。
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