マジシャンとして公演200回超え--NTT西日本の新規事業創出プロデューサーが説くイノベーターの鍵 - (page 2)

藤井涼 (編集部) 石田仁志2020年06月02日 09時00分

 自分で起案したビジネスをリリースするということにチャレンジしました。私のそれまでの活動に興味を持ってくださった斜め上の上司が、「一度、介護施設の及部の活動を見に行きたい」とおっしゃり、実際に来てくださいました。すると、「すごくいい活動をしているな」と褒めていただきました。

 そして後日、面白い人を見つけてきたと介護レクリエーションに取り組んでいるベンチャーの社長を紹介してくれました。その流れで私が第一号として2014年にレクリエーション介護士の資格を取得し、そのベンチャーとNTT西日本でアライアンスを組み、介護施設などのレクリエーションのサポートサービスをリリースしました。

 この事例は、これまで自主的に動いて外部で学んできた経験を活かして、リリースするところにつながりました。またその際に、プロジェクトリーダーをさせていただき、チームメンバーの先輩社員からリーダーとしてのあり方や会社の動かし方、資料の作り方などを学び、アイデア創出から実際のサービスリリースまで全ての経験ができたので、新規事業を創出する力をつけることができました。

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他社出向により社内外知識・経験・人脈の重要性に気付く

ーーNTT西日本以外でのビジネス活動についても聞かせてください。新規事業の部署から大手飲料メーカーに出向していますが、こちらではどのようなことをされていたのか、もう少し詳しく聞かせてください。

 はい。介護レクリエーションのサポートサービスをリリースして約3カ月後に、大手飲料メーカーに出向することになります。ここも大きなターニングポイントになりました。

 まずは某エリアの営業担当としてスーパーのシェア拡大に向けた部署に配属されました。そして、配属2カ月後にリーダーとなりました。出向当時はお酒やソフトドリンクについて全く知識のない人間でしたので、毎日、自社製品や他社製品を飲み比べ、味の違いを調べたり、新商品はほぼ全て試したりしていました。そして、最初の半年で人生最大の体重になりました(笑)。

 某エリアの営業成績は当時下から数えた方が早かったのですが、私がリーダーになって約半年後には目標達成率が日本で一番になりました。

ーーすごいですね。日本で一番になったポイントは何だったのでしょうか。

 一番になったポイントはモチベーションの変化だと思います。営業の方々と同行する上で、いろいろな方の人生相談を受けるようになりました。たとえば、ご自身が退職してからやりたいこと、お子さんのこと、事故をした時の対応など。過去の経験や人脈を活かして回答している内に、「およちゃんのために頑張ろう」という空気になり、社内のいろんなコンペで入賞の常連になり、日本一につながりました。

 仕事のために仕事をするのではなく、生活のために仕事をしている人も多いので、生活についての悩みを解決できる力をもつとモチベーションが高まる人も多く存在します。さまざまな経験を普段から積み重ねることで、社内の実績にもつながることをここでも学びました。

ーー社外の経験は社内実績にもつながってくるんですね。出向を通して他にはどんなことを学びましたか。

 出向を通して、社内をよくするためには、“社内も社外も知ること”が大切だということを学びました。

 出向中には某エリアの業務だけではなく、デジタルマーケティング業務やイベントの企画業務、飲食店の盛業支援業務にも携わり、本当にさまざまなことに挑戦させていただきました。その中で、社外の文化、制度、人、システム、営業戦略、広報戦略など、さまざまなことが見えてきました。すると、NTT西日本を「もっとこうしたらよくなるんじゃないか」と気付くことがたくさんあります。

 そもそも社内のことを知らないと、社外でいくら学んでも改革するポイントなんて見つけられないので、双方を知ることが非常に重要になってきます。その“社内も社外も知ること”の重要性に気付くことが今の活動につながってきます。

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出向で気付いたことを活かして行動

ーー“社内も社外も知ること”の重要性に気付いたというと、ここで「NTT-WEST Youth」や「ICOLA」の活動につながるわけですね。

 はい。大手飲料メーカーへ出向中に、NTT-WEST YouthとICOLAを創設します。まず、2016年9月にNTT西日本を活性化させるための有志団体NTT-WEST Youthを立ち上げました。こちらは立ち上げる前に人事部へ相談し、アドバイスなどをいただきました。最初の頃は、社内のグループ会社社長をお呼びした講演会や若手の交流会などを開催し、社内のことを知る活動や社内の人とつながる活動をしていました。今は新型コロナの影響もあり、新入社員と先輩社員をオンラインでつなぐイベントなどを企画しています。

 そして、2017年2月から関西の大企業有志団体ネットワークであるICOLAを立ち上げ、関西の大企業社員みんなで関西を活性化させるために、各有志団体の情報共有会、交流会、勉強会、講演会、研究会、地域活性化の取り組みやスポーツイベントなどを行ってきました。

 たとえば、各有志団体の情報共有会では、各社有志団体の活動をご報告いただき、相談があれば、他の有志団体に聞くことができます。長く有志団体をやっていると、今までにさまざまな試練を乗り越えているため、たくさんのアドバイスができます。

 また最近では、大阪産業局が行っている「V:DRIVE」というベンチャー企業の成長を加速させるためのプログラムと連携したイベントも開催しています。ベンチャーの社長に登壇いただき、サービス紹介や自社課題を教えていただいた上で、大企業メンバーによる課題解決提案や実際に複業としてベンチャー企業にJOINするという取り組みとなります。ここでは、自分たちの既存の知識以外の知識を学ぶことで視野を広げることができます。

 このように双方とも有志の活動であるため、会社の枠に閉じることなく、自分たちの好きなようにさまざまな取り組みをしています。ここに参加している人たちはモチベーションの高い人や能力の高い人が多いため、参加メンバーと話しているだけでも自分の知識が高まっています。

 現在、ICOLAはメーリングリストベースでは40社以上の方が登録しており、その有志団体の先の方まで含めると何人いるのか僕でもわかりません(笑)NTT-WEST Youthだけでも150人以上いますので。

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他社出向や有志団体の経験から得た新たな取組み

ーー出向から戻られてから、NTT西日本ではどんな動きをされたのですか。

 NTT西日本では大きく2つの取り組みをしました。「新規事業創出支援」と「新規事業創出」です。

 有志団体の取り組みをしている中で、気付いたことがありました。それは、この会社にはモチベーションの高い人がたくさんいるということです。そして、有志団体活動によりそのモチベーションの高い人同士が社内外交流や活動を通じて、熱意が溢れ、主体的に行動し、知識や経験、人脈が増えていきます。しかし、社内では自分のやりたい仕事ができず、業務モチベーションが低下し、退職する人も現れました。

 すごくレベルの高い人たちが退職していく姿を見て、NTT西日本の成長に不可欠なことは、モチベーションの高い仲間たちが居続けたい会社になることだと思い、社員に新しい挑戦ができる環境をつくりたいと思いました。

ーーそれが、HEROES PROJECTにつながっていくのですね。

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