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新型コロナで休校延長、問われる生徒の過ごし方--収入減の学生を狙った「副業詐欺」も

 

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて、4月から再開予定だった都立校の休校が延び、再開はGW頃になりそうだ。小中学校も同様に休校が続く見通しとなっている。小中高校生たちが自宅にこもってはや1カ月だが、さらに長引きそうだ。子どもたちの現状とリスク、必要な対策について見ていきたい。

運動・学習面だけでなく「メンタル面」のケアも大切

 まず、これまでの臨時休校での子どもの様子や家庭への影響はどうだったのかについて見ていこう。

 フローレンスの「一斉休校に関する緊急全国アンケート」(3月6〜9日)によると、臨時休校・休園の影響として困っていることは、「子どもが運動不足になること」(69.9%)がトップに。続いて「休校・休園自体や友だちと会えないことによる子どものストレス・心のケア」(56.8%)、「学習に遅れが出ること」(56.6%)、「子どもの日中の居場所・遊び場がないこと」(50.6%)などとなった。

 突然学校や園に行けなくなっただけでなく、友だちに会えなくなったうえ、外にいるだけで怒鳴られたり、通報されたりした子どもも多い。「先生が学区内を見回って、公園にいると叱られた」という子もいる。「子どもが荒れている」「親もストレスで子どもを強く叱ってしまった」という声もある。運動面や学習面はもちろん、ストレス解消や心のケアが必要な状態であることがわかる。

 「臨時休校・休園に対してすでに利用しているサービスやご家庭で対応していること」は、「子どもだけで長時間留守番させている」が32.7%おり、小学校4〜6年生以上やひとり親の層では5割以上となっている。また利用しているサービスは「本や学習教材」「オンライン学習コンテンツ」「学童保育などの一時預かり施設」などが多いが、世帯年収が低いほど外部サービスの利用率は低い傾向にあった。

 突然の休校措置に対して多くの企業・団体などが様々な学習コンテンツを無料公開してくれたのだが、年収が低い世帯はPCやタブレット、Wi-Fi環境などが整っていないこともあり、利用率が低くなってしまったようだ。休校は長引く可能性があり、学習コンテンツやサービスの認知度をさらに高め、インフラが整っていない児童・生徒のケアも必要となってきそうだ。

収入減の学生を狙った「副業詐欺」も

 高校生や大学生、新入社員なども、休校によって様々な困難に巻き込まれている。新型コロナウイルス感染拡大と消費の低迷などによって業績が悪化している宿泊業・飲食業などでは、入社式直前で学生の内定取り消しをしている例も少なくない。

 「コロナウイルスでバイトが休みで暇になった」という高校生や大学生も多い。「春休みにまとめて稼ぐつもりだったのに、塾が休みになって収入も大幅に減ってしまった」。大学生の中には、学費や生活費に使うはずだったバイト代が入らなくなり、学費が払えないという声もある。

 これに対しては、文部科学省が大学側に学費納入の猶予を求めているほか、大学で申請すれば学費を減免したり、支払期間の猶予をしたり、分割払いなどができる場合もあるので、必ず確認しよう。なお、会社の都合で休まされた場合、学生バイトでも平均賃金の60%以上を「休業手当」としてもらえる。

 収入減の学生をターゲットにした副業詐欺も起きている。Twitterでは、空き時間に簡単に稼げる方法を紹介するという投稿を早速複数見かけている。ピンチにつけこんだ詐欺の可能性が高いので、このようなものを信用せず、公に用意されている手当や制度などを利用するといいだろう。

Zenlyに見る「自宅滞在率」はかなり高め

 HIKAKINさんが「若いみんなへ、ヒカキンより。」という動画を投稿し、「#うちで過ごそう」と呼びかけて話題となった。前日に悪性リンパ腫で入院中の笠井信輔アナウンサーが呼びかけており、「#うちで過ごそう」はTwitterでトレンド入りしている。

 海外でも、「#StayHome」「#StayHomeFor〜」運動が起きている。サーカーのメッシ選手が「#YoMeQuedoEnCasa (「家にいよう」の意)」と呼びかけるなど、多くの著名人や芸能人が呼びかけに参加しているようだ。

 現在、若者に人気の位置情報シェアアプリ「Zenly」では、各国の自宅滞在率が確認できる。左上のマーク→「#STAYHOME」で表示され、日付を選んで自宅滞在率を確認することも可能だ。

キャプション

 ロックダウンとなっている国などは自宅滞在率が9割を超えることもあり、日本は現状70%。自宅待機要請があった直近の日曜日は74%が自宅に滞在していた。利用者には若者が多いことを考えると、かなり自宅にいると考えてよさそうだ。

 大人も子どももがんばっている。耐え忍ぶ時期はもう少し続きそうだが、インターネットやコンテンツを駆使しながら、協力して乗り切っていきたい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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