筆者は、アプリのウィンドウをもっと簡単に開いたりしまったりできるようになることも望んでいる。「Slide Over」(「iPadOS」ですでに開いているアプリの上に別のアプリを重ねて表示し、一目で確認できるようにするオーバーレイ機能の名前)は、トラックパッドではうまく機能させるのが難しい。画面を分割して2つのアプリを同時に表示する「Split View」の調節についても同じだ。iPadでは、以前から、よりスムーズなマルチタスクを実現するOSアップデートが必要だった。それがあれば、さまざまなものをもっと柔軟にサイズ変更したり移動したりすることができるだろう。筆者は、トラックパッドがそうしたマルチタスク機能の改善にもっと役立つことを期待している。確かに、開いた多くのアプリ(とアプリの組み合わせ)を縮小したり、切り替えたりすることはいつでもできる。それらの機能も役には立つが、新しい方向に移動させたりするのは不思議な感じだ。
新型iPad Proの背面に搭載されたLiDARセンサーについては、まだ、どう評価すればいいのか分からない。Appleは明らかに拡張現実(AR)の未来に向かって突っ走っているが、これには、将来的にヘッドセットやメガネが絡んでくるはずだ。AppleにとってこのLiDARセンサーは、今後の方向性を示す、初めてのちゃんとしたハードウェアである。最大5m先まで計測して、周辺環境の3Dメッシュを作成できるこのスキャナーは、まさに「Magic Leap」やMicrosoftの「HoloLens」のようなARヘッドセットに搭載されるべきものだ。Appleの次期「iPhone」にも搭載される可能性が高い。
筆者は何年か前に、3DカメラセンサーのメーカーであるOccipitalのiPad向けカメラシステム「Structure」で遊んだとき、このようなARの未来を少し垣間見た。世界をスキャンして深度マッピングを実行するGoogleのスマートフォン向けプラットフォーム「Tango」もあった。Appleのソリューションはそれらよりもはるかに優れているかもしれないが、筆者はその実力をアプリで試す機会をまだ得られていない。ある意味で、これは、ほとんどの「iPhone」とiPad Proの前面に搭載されている近距離の3Dスキャンが可能な「TrueDepth」カメラの、認識距離を長くしたバージョンと言えるだろう。
「ARKit」アプリは読み込みが高速化しており、オブジェクトの配置もより高度になっているが、それらの機能は氷山の一角にすぎない。タブレットで3Dオブジェクトをスキャンして、現実世界を3Dメッシュ化し、さまざまなものを重ね合わせて、現実世界をマッピングする。その次には何が来るのだろうか。一部のプロフェッショナルにとっては、素晴らしいものになるだろうが、ほとんどの人はおそらくまったく必要としない特殊な機能だ。また、多くのアプリは、深度を検出する追加のハードウェアなしで周辺環境をスキャンするさまざまな方法をすでに考え出している。
これはAppleにとって大きな一歩であり、筆者は次に登場するアプリを早く試してみたいと思っている。だが、それほど必要なものではないし、これで何ができるのかを現時点で判断することはできない。
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