OYO Hotels Japanは3月18日が日本だけの新ブランド「OYO Ryokan」を開始すると発表した。全国にある旅館とパートナーシップを結び、旅館の持つサービスや施設などをいかしながら、ブランディングや集客などをサポートする。
母体となるOYO Hotels & Homesは、世界に80カ国100万室以上を保有し、AIなどのテクノロジーを使って、効率的に収益化する仕組みを導入していることで知られるホテルチェーン。日本では2019年10月にソフトバンクグループの合弁事業として本格的に始動。現在、日本の76都市で190以上の施設とフランチャイズ契約をしている。賃貸サービス「OYO LIFE」を展開するOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPANとは兄弟会社という関係だ。
OYO Ryokanは、日本の宿泊施設として長い歴史を持つ旅館に特化した独自のブランド。和室や温泉といった旅館の姿はそのままに、宿泊予約や収益管理の部分に、OYOが持つテクノロジーを取り込み、収益の最大化と効率化を目指す。
客室や大浴場などの施設におけるリフォームなどもサポートし、布団やのれん、備え付けの家具などもOYOブランドのものを用意。外国人旅行客の利用増を想定し、座椅子をなくして、布団を組み合わせることでソファにもなるソファベッドの導入や、大浴場で使う椅子の高さを少し高めのものを用意するなど、使いやすい形に進化させていることが特徴だ。
一方で「旅館が持っているものを壊したくない」(OYO Hotels Japan 旅館プロジェクトディレクターの八木寛人氏)という思いから、看板などはそのまま使用。旅館名なども変える必要はなく、あくまでもOYO Hotels Japanがサポートする体制をとる。
「OYO Ryokanにたどりつくまで8~9カ月かけて、旅館のマーケットを再認識した。日本の旅館は奈良時代からベースになるものがあるなど古い歴史を持つ。高度成長期には社員旅行や修学旅行、家族旅行などで賑わい、稼働率が90%以上という時代が続いた。しかし、20、30年前に比べ旅館の数は40%程度削減され、旅館の伝統をどう引き継ぐかなども問題になっている。OYOではこれをチャレンジととらえ、人手不足や後継者不足、資金不足など改革が求められている旅館をサポートしていきたい」(八木氏)と話す。
実際に100以上の旅館施設を訪ね、ヒアリングしながら現状認識を進めていったとのこと。「何より大事なのは理解すること。旅館はビジネスではない、おもてなしなんだと身を持って経験した」とOYO Hotels Japan バイス・プレジデントのサント・シング氏は、日本の旅館に理解を見せる。
また「おもてなしの形はいろいろある。OYOのプラットフォームに参画いただくことで、オーナーご自身がやりたいおもてなしに集中してもらえると考えている。宿泊予約が電話からネットになったり、旅館を探す窓口がウェブに変わったりといった変化はほかの業界でも起きていること。こうした時代の流れに乗っていけるようにサポートしたい」(OYO Hotels Japan バイス・プレジデントの崎島淳一氏)と、旅館に寄り添いながら、テクノロジーを取り入れる姿勢を示す。
現在、26県約1000室以上と契約しており、「旅館オーナーとOYOの強みをブレンドすることで、さまざまな可能性が出てきている」(八木氏)とのこと。フルブランディングするところもあれば、リフォームなしではじめるところもあり、旅館によってサポート体制はさまざまだという。
先行するホテルブランドでは、稼働率が5~6%改善しており、今後はOYO Ryokanとあわせてキャンペーンなどを展開することで、さらなる稼働率の引き上げを目指す。
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