「OYO LIFE」がサービスを開始して約1年が経過した。インドのユニコーン企業であるOYO Hotels & Homeが日本で展開する初のサービスであること、家具家電付きで、敷金礼金ゼロなど、従来の賃貸不動産とは異なる慣習を取り入れたことなど、開始当初から話題は尽きず、2019年に最も注目を集めた不動産サービスの1つだったと言えるだろう。
しかし、2019年末には、ヤフーを傘下に持つZホールディングスとの合弁解消を発表しており、その後の動向にも関心が高まっている。多くの視線が集まる中、2月にOYO LIFE 代表に就任したOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN シニア・バイス・プレジデントの山本竜馬氏に、厳しい意見も相次いだこの1年の振り返りと今後の事業について聞いた。
――新しい形の賃貸不動産として登場したOYO LIFEですが、この1年の手応えは。
賃貸不動産事業は、長く業界が固定化され、テクノロジーが導入されていない、消費者にとって利便性の高くない代表的な業界になっていました。ただ、賃貸を借りる回数は頻度が低く、利便性を高めても生活が大きく変わるわけではないと思われていました。
賃貸業務は、物件情報の掲載から仲介、管理など業態ごとの役割分担が明確で、それぞれの業態があうんの呼吸で業務を進めていますが、役割分担があるがゆえにお客様にとって煩雑なプロセスになっている面もあり、そこを変えたいと思って始めました。
私たちはテクノロジーカンパニーですから、業務を効率化したり、一気通貫のシステムを整えるのは得意ですが、何分全く新しいプレーヤーですので、部屋を貸すオーナーの方も部屋を借りるお客様も「大丈夫か」と感じる部分はあるでしょう。その不安を解消するために、日本でも名のしれた企業であるヤフーを傘下に持つZホールディングスと組み、合弁会社として始めることで、信頼性を担保していました。
合弁会社でスタートするという戦略は功を奏し、認知度は高まりました。多分不動産業界に従事する人でOYO LIFEを知らないという人はいないのではないでしょうか。そう考えるといい1年だったと思っています。
――既存プレーヤーが根強い賃貸業界で、ここまで認知度を上げられた要因は。
やはり、Zホールディングスとの合弁会社としてスタートしたことで、グループ全体としての信頼性が高まったことは大きかったです。また、OYOでは一括借上げのサブリースを基本としていて、初期投資がかなりかかりますが、OYO本体とZホールディングスの合弁会社として、通常のスタートアップに比べると資金力もありました。
OYO LIFEは、テクノロジー企業としてのノウハウを持ちつつ、認知度と資金力を併せ持つ私たちでしかできなかったビジネスだと思っています。スモールスタートがしやすいビジネスは参入障壁が低いですが、不動産は資金力が必要かつ、業界に熟知していなければできない、参入障壁の高いビジネスです。その中で、ウェブサイト上で部屋を探し、すぐに入居までできるシステムを作れたことは我々の強みが発揮できた結果だと思っています。
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