ウェブの生みの親であるTim Berners-Lee氏は、ウェブ誕生から31年にあたる3月12日に公開した書簡の中で、アクセスの欠如とオンラインハラスメントの脅威が、女性に対する虐待と差別を煽っていると警告した。
「ウェブは女性に対して正しく機能していない」と同氏は12日の書簡に記した。「世界はジェンダーの平等という点で重要な進歩を遂げてきた(中略)しかし女性、特に有色人種、LGBTQ+コミュニティー、その他の少数派グループに所属する人々が受けるオンライン被害がその進歩を脅かしていることを、私は深刻に懸念している」と同氏は述べ、女性の権利と平等は「健全な社会に必須」であるため、男性と女性を含むすべての人々がこの問題を心に留める必要があると続けている。
Berners-Lee氏は書簡の中で、オンラインにおいて複数の点で女性が男性と平等になっていないことを指摘した。まずは、アクセスに関してだ。ワールドワイドウェブ財団の統計によると、ウェブにアクセスできる状態にある男性は女性よりも21%多く、一部の地域、特に南半球ではその差が52%まで開くという。
同財団がますます注視しているもう1つの問題が、インターネットを利用する女性の体験に多大な影響を与える、性別に基づく暴力とハラスメントだ。
同財団とガールガイド・ガールスカウト世界連盟による調査では、調査した若い女性の半数以上が、性的嫌がらせを受けたり、脅迫メッセージを送られたり、プライベートな写真を同意なく共有されたりといった、オンライン暴力の経験があることが明らかになった。そうした暴力により、女性はインターネットだけでなく、職場や学校からも離れることを余儀なくされているとBerners-Lee氏は指摘している。
同氏が書簡の中で最後に挙げた問題は、AIアルゴリズムの中に隠された女性差別だ。AIアルゴリズムは、偏ったデータでトレーニングされている場合が多い。その結果、多くの自動システムが男性向けで、女性よりも男性を優先するものとなっており、人口全般のために技術が活用されていないことを示している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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